裏切り(16)
その直後、監察医から村上精一の解剖報告書が届いた、主任の久本は、それを見て
「村上精一の死因は硫化水素中毒死と言う事だ、また、遺体の血液の中に睡眠薬の
反応と缶コーヒーが検出されたそうだ、それから死亡推定時刻は8月5日夜の11時
から12時の間で間違い無いと言う事だ」
久本は又
「それでは、今夜の通夜と明日の告別式には私と高橋君が行ってみる、他の君達は
湘南平の現場近くでの目撃者が居なかったか聞き込んで来る事と、立花良二社長の
5日の夜の行動の聞き込みと、また、今後の行動を張り込んでみてくれ、なを社長が
1番に信頼を置いている社員がいるか、またそれは誰なのか、立花株式会社の社員
に当たってみてくれ」
中村刑事が
「主任、立花が村上精一が邪魔になった理由は、財産相続と言う事でしょうか?」
「そうだな・・・・・・・・そうか、遺言状を借りに立花精三が書いていた事を知って、これは
自分が当然に不利になる、と考えたのかも知れないな、そうかだから自分の運転手の
古川信夫を精三の入院している市民病院に張り込ませていたとも、考えられるな?」
中村刑事は
「誰がいったい、村上精一を呼び出したかですが?・・・・・・・・」
高橋刑事が
「ん、睡眠薬入りの缶コーヒーを飲ませたのは、誰だと言う事ですね」
主任の久本は
「もしかしたら、他の現場で睡眠薬入りのコーヒーを飲ませて湘南平で硫化水素自殺
を装ったのでは無いかと思うが、それは多分村上精一と面識がある人間、立花良二
では無いかとも思えるが、しかし社長以外の他の、誰かかも知れない詰まり、良二が
この事を工作したとは思え無いんだよ、とにかく、そのような事で、皆で行動してくれ
以上だ」
と、言って主任の久本は話を終えた
一方、保雄は村上精一の葬儀が終わった3日後の土曜日に再び茅ヶ崎の村上精一
の自宅を尋ねた
「こんにちは」
と、保雄はインターホンを押して言った
「はい、村上ですが」
「すいません、保険会社の調査の者ですが・・・・・」
「はい、何でしょうか?」
「すいませんが、息子さんが事件当日の行動をお分かりででしたら、教えて貰いたい
のですが?」
「そうですか、今、玄関を開けますので・・・・」
と、言って玄関が開き60代くらいの女性が出て来た
「あぁ、どうも、すいません、この度はご愁傷様でした、それで警察のような聞き方に
なってしまうと思いますが、息子さんの精一さんの、事件当日の行動を、お話頂けたら
と思いまして?」
「そうですね、あの日は何時ものように、朝7時に会社に行く為に家を出て行きました
何時もなら遅くても夜10時頃には帰って来るはずなのに、その日は11時、12時に
なっても、帰って来ませんので彼の携帯に12時半頃に電話しましたが、一向に出ませ
んので、まぁ、子供でもないので明日は帰ると思ってそのままにして置きましたら、警察
から、電話があって・・・・・・・・・・」
「そうですか、息子さんは普段誰かに、恨まれているとか、又反対に恨んでいる人間が
いたと言うような事は、無かったでしょうか?」
「いや、そう言う事を私に言う息子ではありませんので・・・・・」
「と、言う事は精一さんは、お母さんに心配を掛けるような事は言う人間では無いと言う
事でいいでしょうか?」
「そうですね、借りに誰かを恨んでいたとしても、精一はそんな事を口に出して言う子で
は無かったです」
保雄は
「分かりました、お母さんは全く精一さんが無くなった原因は分からないと言う事ですね
それでは、すいませんが、精一さんの、お勤め先を伺ってもいいでしょうか?」
「はい、平塚の工業団地の中の「日ノ出ペイント」と言う会社です」
「あぁ、あの大きい1流の会社ですね、分かりました、で、話が少し違うのですがご親戚
の立花秀子さんが殺害された事に付いて、息子さんは何か話されていましたか?」
「いや、親戚と言っても、付き合いは、ほとんど無いような物でしたので・・・お葬式には
顔だけは出しましたが・・・・」
「と、言う事は専務の秀子さんとか「立花株式会社」の社長さんとは面識はあったと言う
事でいいでしょうか?」
「はい、私は顔だけは知っています、息子はどうかは知りませんが・・・・・」
「そうですか、どうもありがとうございました、これで失礼します」
そう言って保雄は一旦、自宅に戻った
立花良二は11年前、亡くなった妻の秀子と結婚した、そもそも結婚の切っ掛けは秀子
の父親の立花精三が大学の親友だった、良二の父親の石田達雄との関係から秀子と
の見合いが成立したのだった、35歳の石田良二には、金に対する執着心と将来は
老舗会社の社長に慣れると言う出世欲から、良二は1回でその話に乗った、しかし
以前から良二には付き合っていた女性がいた、彼女の名前は清水靖子30歳で良二
とは、もう5年も前からの付き合いで良二はその頃、うるさく結婚を迫ってくる靖子に
飽きが来ていた頃であった為、金と出世欲に執着していた良二は、彼女に一方的に
別れ話をいい別れてしまい、その後、彼女からの電話には一切出なかった、それから
11年後、立花良二は妻の通夜で、バッタリと清水靖子と再会してしまった彼女は後日
良二を当事、2人で会っては、情事を重ねていたホテルに呼び出した
「貴方、随分勝手な方ね!あれから私は何度も貴方の家に電話して、貴方の亡くなった
奥さんに全て、ぶちまけてやったわよ!貴方の奥さんが可哀想、貴方が代わりに死ん
でれば良かったのに、私はこれから、貴方に十分な、償いをして貰うわよ!取り合えず
5千万円、今までの慰謝料として頂く事にするわ、誓約書、書いて貰うから、いいわね」
良二は
「分かったよ、俺が悪かったと思ってるよ、それで、何時、金を払ったらいいんだ」
「明日の夜、7時に、又ここで、間違い無く、現金と印鑑忘れないでよ」
そう言うと、彼女は、そのホテルから足早に出て行った、その翌日の夜、7時に2人は
そのホテルで会い良二は誓約書に印鑑とサインをして、現金5千万を靖子に渡した。
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