因縁(10)
平塚警察の鑑識課では早速、中山正弘のスニーカーと足跡の照合が行なわれた
その結果、スニーカーは中原修の殺害された自宅玄関から出た、足跡に間違い無い
と分かった、捜査課主任の久本は
「しかし、これで中山正弘が、本当に犯人で無いと言う証拠にはなら無いがな?
そもそも、中原修が死んで、得をする奴は誰なんだ?」
高橋刑事が
「そうですね、得をするのは、修が死ねば財産相続の時に長男の取り分が多くなる
それくらいの事でしょうか、後は生命保険に修がいくら入っていたかですが・・・・」
「しかし、身内どうしで、長男の有二だって、黙っていても財産は自分に入る事だし
そんな直ぐにバレルような弟殺しをするかだが?しかし一応、中原有二の当日の
アリバイだけは聞いて置いてくれ」
「はい、分かりました」
「しかし犯人が中山正弘なら辻褄は合うんだがな?」
「中山が犯人ならあの若さで、あんなに平常心でいられるのは変です、彼はまだ子供
ですし本ボシでは無いと思いますが、私は本ボシは他にいると思っていますが・・・・・」
と中村刑事が言った、久本は
「そうか、それが本当なら犯人は中山正弘とほんの僅かな差で逃げたんだろう中山は
確か東の方から中原修の自宅に行ったんだったな?」
「はい、そうです」
「と言う事は犯人は西の方に逃げたので中山とはすれ違わなかったのかも知れないな」
「そうですね、意外とその方向に犯人は車を止めていたとも考えられます」
「そうだな、その当たりに駐車場があるかも知れないので、捜査を頼む」
そう言うと久本は皆に
「それでは、これからも中原修の交友関係と、彼に係わる関係者の洗い出しを頼む」
久本は、そう言って会議を終えた
保雄は夕方5時過ぎに市内、山下にある木村茂の自宅を訪ねた、インターホンを
押すと
「はい、どなたでしょうか?」
「すいません、先程伺いました川崎探偵事務所の者ですがご主人はお帰りでしょうか」
「はい、帰っています、今、玄関をあけますから・・・・・」
そう言うと玄関が開いて、50代半ばの男性が出て来た、保雄は
「すいません、お手数掛けます・・・・」
「あぁ、聞きましたよ、北村も残念だったと思います」
「突然ですが北村さんは誰かに怨まれるような事を話していた事は無かったでしょうか」
「分かりませんね、最近はもう2年ぐらい会っていませんでしたので・・・・」
「そうですか、処で北村さんの性格はどんな性格でしたでしょうか?」
「お酒を飲むと良く話すんですが普段は無口な方でしたね、彼は昔、交通事故を起こ
していますので、運転は慎重でしたよ、私なんかセッカチな性格ですから彼の運転は
横に乗るとイライラしたものでしたよ」
と言って木村は笑った
「そうですか、処で北村さんの女性関係なんかは聞いて事は無かったですか?」
「いや、それは昔、若い頃は一緒に難破もした事がありましたが、結婚してからは
真面目にやっていたですよ、でも女性が好きだったのは確かですね」
「そうですか、ご主人は、そんな北村さんが女性といるような現場を見た事があるんで
しょうか?」
「いや、見た事は無いですが、昔は皆、色々ありましたから・・・・・・」
「そうですか、分かりました、どうもありがとうございました」
そう言って、保雄は事務所に戻った、保雄は今までのあった事を一旦整理してみよう
と、ノートに書いていた、前に帰って来ていた所長の川崎は
「豊田君、どうだ、調査は進んでいるのか?」
「いや、現在、行き詰まっています北村信一の友人、近所の人それに中学校の同級生
に聞いて歩いたんですが、現在まではホシには近ずいてはいないようです」
「そうか、それじゃぁ、もう1度始めに戻ってみて調査したらどうかな、確か北村信一は
交通刑務所に7年間お勤めをしていたと言っていたな?」
「はい、確かに」
「その時のひき逃げされた被害者の家族には当たったのか?」
「いや、まだです、警察にいる友人からの捜査で聞いていますが、その被害者には
直接は当たってはいません」
「それでは、当たって見る事だな」
「はい、そうします」
保雄は明日でも28年前の被害者の、竹田一男の家族に当たる事にした
その夜、午前2時半頃に自宅に戻って来た、中原有二は家で寝ずに待っていた妻の
香織が
「貴方!今迄、私の父親の葬式や修ちゃんの葬式があって黙っていたけど、私、貴方
の事を探偵事務所に依頼して調査して貰ってたのよ!」
と香織は言って、テーブルに座っていた有二に保雄が書いた浮気調査報告書を放り
投げた、その時中から有二と二宮雅子がホテルに入る所の写った写真が飛び出した
「お、お前、汚ねーまねしゃーがって!」
「どっちが汚いのよ!汚い事してるのは貴方でしょう!」
「俺は、そう言うお前に、もー飽き飽きしてるんだよ!気にいらねーなら出て行け!」
「言わなくても出来行くわよ、その代わりに2階の金庫の中のお金、全部頂くわよ!」
「何ー!」
「実はもう、このバックに入れてあるのよ、1千万でも安す過ぎるくらいよ!」
「お、お前ふざけるな!お前の金じゃぁねーんだぞ!この野郎!」
と言った瞬間、有二の手が香織の顔を拳で殴っていた
「痛ーい!何すんのよ!」
と香織はテーブルの上に置いてあった果物ナイフで有二の腹を刺した
「うー・・・・・・・手前ーー殺してやる!」
刺した事に驚いた香織はそのまま、玄関から飛び出して暗闇の中に消えて行った
腹を押さえて有二は自分で119番を回して救急車を呼んで、病院に運ばれて行った
その翌朝、保雄の所に村田から電話があった
「もしもし、実はお前の捜査していた中原有二が昨夜、奥さんの香織に腹を刺されて
病院に運ばれたよ、しかし傷は浅くて数日で退院出来ると言う事だよ、それに香織が
何処かに逃げているんだ、警察は事情を聞く為に探しているんだが、お前、心当たり
無いかな?」
「えー!本当か!、驚いたなやはり、女が原因だな・・・・・香織の実家は調べたか?」
「あぁ、調べたがいないと言う事だ」
「それでは、俺にも見当が付かないな」
「そうか、仕方ないな、話は変わるが先日の「中原工業」の退職者の名簿に書いてある
人物を全員、捜査したが、中原修をやったと思われる人物は該当しなかったよ」
「そうか、分かったしかし、あんなに若い修を、簡単に刺し殺せる動機を持った人物とは
どんな奴なんだろうかな?・・・・・・」
村田は
「ん、警察では、怨恨の線で犯人を追っているが、もしかして、何か他のの事情がある
のかも知れないな・・・・・」
「そうだな、修が死んで得をするのは誰なんだ?」
「だから、それは長男の有二と思うが、まさか彼は黙っていても財産が入ってくるんだ
そんな弟を殺さ無くてもな・・・・・」
「そう言う事だよな・・・・・・・・・確か父親の中原社長には弟がいたよな?」
「あぁ、確か、専務の中原良雄だよ」
保雄は
「警察は彼の事は捜査したのか?」
「いや、身内と言う事なのでまだ、捜査はしていないな」
「一応、当たってみる必要があるかも知れないな?俺の方も調べてみるが」
「あぁ、そうだな、課長に話してみるよ、それじゃぁ、又」
と村田は言って電話を切った。
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