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2008年9月

因縁(10)

平塚警察の鑑識課では早速、中山正弘のスニーカーと足跡の照合が行なわれた

その結果、スニーカーは中原修の殺害された自宅玄関から出た、足跡に間違い無い

と分かった、捜査課主任の久本は

「しかし、これで中山正弘が、本当に犯人で無いと言う証拠にはなら無いがな?

そもそも、中原修が死んで、得をする奴は誰なんだ?」

高橋刑事が

「そうですね、得をするのは、修が死ねば財産相続の時に長男の取り分が多くなる

それくらいの事でしょうか、後は生命保険に修がいくら入っていたかですが・・・・」

「しかし、身内どうしで、長男の有二だって、黙っていても財産は自分に入る事だし

そんな直ぐにバレルような弟殺しをするかだが?しかし一応、中原有二の当日の

アリバイだけは聞いて置いてくれ」

「はい、分かりました」

「しかし犯人が中山正弘なら辻褄は合うんだがな?」

「中山が犯人ならあの若さで、あんなに平常心でいられるのは変です、彼はまだ子供

ですし本ボシでは無いと思いますが、私は本ボシは他にいると思っていますが・・・・・」

と中村刑事が言った、久本は

「そうか、それが本当なら犯人は中山正弘とほんの僅かな差で逃げたんだろう中山は

確か東の方から中原修の自宅に行ったんだったな?」

「はい、そうです」

「と言う事は犯人は西の方に逃げたので中山とはすれ違わなかったのかも知れないな」

「そうですね、意外とその方向に犯人は車を止めていたとも考えられます」

「そうだな、その当たりに駐車場があるかも知れないので、捜査を頼む」

そう言うと久本は皆に

「それでは、これからも中原修の交友関係と、彼に係わる関係者の洗い出しを頼む」

久本は、そう言って会議を終えた

保雄は夕方5時過ぎに市内、山下にある木村茂の自宅を訪ねた、インターホンを

押すと

「はい、どなたでしょうか?」

「すいません、先程伺いました川崎探偵事務所の者ですがご主人はお帰りでしょうか」

「はい、帰っています、今、玄関をあけますから・・・・・」

そう言うと玄関が開いて、50代半ばの男性が出て来た、保雄は

「すいません、お手数掛けます・・・・」

「あぁ、聞きましたよ、北村も残念だったと思います」

「突然ですが北村さんは誰かに怨まれるような事を話していた事は無かったでしょうか」

「分かりませんね、最近はもう2年ぐらい会っていませんでしたので・・・・」

「そうですか、処で北村さんの性格はどんな性格でしたでしょうか?」

「お酒を飲むと良く話すんですが普段は無口な方でしたね、彼は昔、交通事故を起こ

していますので、運転は慎重でしたよ、私なんかセッカチな性格ですから彼の運転は

横に乗るとイライラしたものでしたよ」

と言って木村は笑った

「そうですか、処で北村さんの女性関係なんかは聞いて事は無かったですか?」

「いや、それは昔、若い頃は一緒に難破もした事がありましたが、結婚してからは

真面目にやっていたですよ、でも女性が好きだったのは確かですね」

「そうですか、ご主人は、そんな北村さんが女性といるような現場を見た事があるんで

しょうか?」

「いや、見た事は無いですが、昔は皆、色々ありましたから・・・・・・」

「そうですか、分かりました、どうもありがとうございました」

そう言って、保雄は事務所に戻った、保雄は今までのあった事を一旦整理してみよう

と、ノートに書いていた、前に帰って来ていた所長の川崎は

「豊田君、どうだ、調査は進んでいるのか?」

「いや、現在、行き詰まっています北村信一の友人、近所の人それに中学校の同級生

に聞いて歩いたんですが、現在まではホシには近ずいてはいないようです」

「そうか、それじゃぁ、もう1度始めに戻ってみて調査したらどうかな、確か北村信一は

交通刑務所に7年間お勤めをしていたと言っていたな?」

「はい、確かに」

「その時のひき逃げされた被害者の家族には当たったのか?」

「いや、まだです、警察にいる友人からの捜査で聞いていますが、その被害者には

直接は当たってはいません」

「それでは、当たって見る事だな」

「はい、そうします」

保雄は明日でも28年前の被害者の、竹田一男の家族に当たる事にした

その夜、午前2時半頃に自宅に戻って来た、中原有二は家で寝ずに待っていた妻の

香織が

「貴方!今迄、私の父親の葬式や修ちゃんの葬式があって黙っていたけど、私、貴方

の事を探偵事務所に依頼して調査して貰ってたのよ!」

と香織は言って、テーブルに座っていた有二に保雄が書いた浮気調査報告書を放り

投げた、その時中から有二と二宮雅子がホテルに入る所の写った写真が飛び出した

「お、お前、汚ねーまねしゃーがって!」

「どっちが汚いのよ!汚い事してるのは貴方でしょう!」

「俺は、そう言うお前に、もー飽き飽きしてるんだよ!気にいらねーなら出て行け!」

「言わなくても出来行くわよ、その代わりに2階の金庫の中のお金、全部頂くわよ!」

「何ー!」

「実はもう、このバックに入れてあるのよ、1千万でも安す過ぎるくらいよ!」

「お、お前ふざけるな!お前の金じゃぁねーんだぞ!この野郎!」

と言った瞬間、有二の手が香織の顔を拳で殴っていた

「痛ーい!何すんのよ!」

と香織はテーブルの上に置いてあった果物ナイフで有二の腹を刺した

「うー・・・・・・・手前ーー殺してやる!」

刺した事に驚いた香織はそのまま、玄関から飛び出して暗闇の中に消えて行った

腹を押さえて有二は自分で119番を回して救急車を呼んで、病院に運ばれて行った

その翌朝、保雄の所に村田から電話があった

「もしもし、実はお前の捜査していた中原有二が昨夜、奥さんの香織に腹を刺されて

病院に運ばれたよ、しかし傷は浅くて数日で退院出来ると言う事だよ、それに香織が

何処かに逃げているんだ、警察は事情を聞く為に探しているんだが、お前、心当たり

無いかな?」

「えー!本当か!、驚いたなやはり、女が原因だな・・・・・香織の実家は調べたか?」

「あぁ、調べたがいないと言う事だ」

「それでは、俺にも見当が付かないな」

「そうか、仕方ないな、話は変わるが先日の「中原工業」の退職者の名簿に書いてある

人物を全員、捜査したが、中原修をやったと思われる人物は該当しなかったよ」

「そうか、分かったしかし、あんなに若い修を、簡単に刺し殺せる動機を持った人物とは

どんな奴なんだろうかな?・・・・・・」

村田は

「ん、警察では、怨恨の線で犯人を追っているが、もしかして、何か他のの事情がある

のかも知れないな・・・・・」

「そうだな、修が死んで得をするのは誰なんだ?」

「だから、それは長男の有二と思うが、まさか彼は黙っていても財産が入ってくるんだ

そんな弟を殺さ無くてもな・・・・・」

「そう言う事だよな・・・・・・・・・確か父親の中原社長には弟がいたよな?」

「あぁ、確か、専務の中原良雄だよ」

保雄は

「警察は彼の事は捜査したのか?」

「いや、身内と言う事なのでまだ、捜査はしていないな」

「一応、当たってみる必要があるかも知れないな?俺の方も調べてみるが」

「あぁ、そうだな、課長に話してみるよ、それじゃぁ、又」

と村田は言って電話を切った。

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因縁(9)

翌日、保雄は、北村修一の妻の明子に見せて貰った卒業者名簿の中の修一が1番

仲が良かったと思われた、林辰夫と木村茂を訪ねる事にした、林辰夫の住所は市内

見付町の10-18で北村の自宅から北方向に500メートルくらいの所であった、保雄は

玄関脇のインターホンを押した

「はい、どなたでしょうか?」

「すいません、私は先日、ご不幸があった北村信一さんの件で、調査している者ですが

少しお話を伺いたいのですが、よろしいでしょうか?」

「はい、今、開けます」

と言って直ぐに玄関が開いて50代くらいの女性が出て来た

「どうも、お忙しい処すいません、こちらのご主人が、北村さんとは仲のいい友人と伺い

まして・・・・・今日はご主人はご在宅でしょうか?」

「はい、それでは今、呼んで来ます」

暫らくして、玄関に背の高い男性が現れて

「どうも、お待たせしました、私が林辰夫ですが・・・・」

「どうも、お忙しい処すいません実は亡くなられた北村信一さんとは仲良くされて居たと

あちらの奥さんに聞きまして、突然ですが、北村さんは誰かに恨まれているような事を

ご主人に話していましたでしょうか?」

「いいえ、そんな事全く聞いていませんよ、それに彼が恨まれる理由が私には分かりま

せん、北村とは何でも飲んで話す仲でしたから、何かあったら私に黙っているはずが

無いですよ」

「そうですか、分かりました、又何か思い出されましたらご連絡をここに頂けませんか」

と保雄が名詞を出すと彼はそれを見て

「あぁ、探偵さんでしたか?」

「はい、北村さんの娘さんに依頼されまして・・・・」

「分かりました、協力させて頂きます」

「どうも、失礼しました」

そう言って保雄は、次に木村茂の自宅を尋ねる事にした、木村茂の自宅は市内、山下

4861にあった、保雄は近所まで行き、ちょうど自宅前の道路を掃除していた奥さんに

聞いてみた

「すいません、この辺に木村茂さんと言うお家はありませんか?」

「あぁ、そこの電柱の所に門があるお宅ですよ」

「どうも、すいません、ありがとうございました」

保雄は、電柱の所の門を見ると確かに木村茂と表札が出ていた、保雄は門に付いて

いたチャイムを押した、5メートルくらいの所に玄関があってそこから、50代くらいの

女性が出て来た

「何か、御用でしょうか?」

「どうも、お忙しい処すいません、こちらのご主人が先日ご不幸があった北村信一さん

の同級生と伺いまして、少しお話が聞けたらと思いまして・・・・・」

「そうですか、今、主人は出掛けていますので、夕方で無いと帰らないと思いますが」

「分かりました、又、夕方にでも出直して来ます、私はこう言う者です」

と保雄は名詞を渡して

「こちらの中原香織さんから依頼されました、探偵です」

「そうですか、そのように話して置きます」

「それでは、よろしくお願いします」

そう言って保雄は、一旦事務所に帰った

その頃、平塚警察の捜査課の中村刑事と清田刑事が帰って来て、主任の久本に

「主任、目撃者が出ました、例の野球帽を被って紺のズボンに水色のワイシャツの

ような格好をして走っていたと言う人物ですが、害者の中原修の友人で良く一緒に帰る

中山正弘16歳でした、自宅の2件隣の奥さんに買い物帰りに出て行く所を見られて

いました、服装は全く同じで、野球帽子に紺のズボンと水色のワイシャツだったと言う

事でした」

久本は

「それで、その奥さんは、事件当日の、何時頃見たと言っていた?」

「はい、夕方5時少し過ぎだったと言っていました」

「そうか、今、5時前だな」

と久本は腕時計を見て

「6時頃ならその中山正弘は自宅に帰ってるだろう、じゃぁ君達、中山の自宅に行って

彼から事情聴取してくれ、それで、もし黙秘したら任意同行して来てくれ」

「はい、分かりました」

中村と清田の2人刑事はそのまま出掛けて行った、彼等は中山正弘の自宅前で6時

まで待って、自宅玄関のインターホンを押した

「はい、中山ですが・・・・・」

「すいません、平塚警察です、ちょっと開けて貰えませんか?」

そう言うと、玄関が開いて50代と思える女性が出て来た

「どうも、すいません息子さんの正弘君に少し伺いたい事がありまして、自宅にお帰り

ですか?」

「はい、帰っています、息子が何かしましたか?」

「いや、先日の中原修君の事件の事で少しお話を伺いたいだけです」

「今、呼んで来ます、少しお待ちください」

暫らくして

「中山正弘です」

と高校生が玄関に出て来た

「警察です、君に聞きたい事があるんだが・・・実はね、君は9月13日の夕方5時半頃

に、中原修君の自宅に行ってるね」

「・・・・・はい・・・・・」

「何の用事で中原君の家に行ったんだ」

「はい、本を貸してくれと前から言われていたので・・・・・」

「それで、彼に渡したのか?」

「いや・・・・行ったら玄関が少し開いていて・・・・・中原君が倒れていて、血だらけで・・・

驚いて走って・・・・家に帰って来ました」

「そうか、その時君は、誰か人影を見たかな?」

「いや、驚いて、怖くて・・・・・・誰も見てません」

「と言う事は君が玄関のドアーを開けたら中原君が倒れていた、それで君は驚いて

走って自宅に帰ったんだね、で、その時の君の履物は?」

「スニーカーです」

中村刑事は玄関の外に出て携帯電話で署に電話して

「主任、中原家の玄関周りの足跡は全て採取してありますね」

「あぁ、もう結果が出てるよ、7名ほどの革靴と女性の靴にスニーカーの足跡が取れて

いるそうだ」

「そうですか、実は彼が中原修の自宅に本を届けに行って、玄関ドアーが開いていた

ので、そのドアーを開けたら中原修が倒れていたのを発見して驚いて走って自宅に

帰ったと言う事です、一応、彼が当日、履いたスニーカーを持って帰ります」

そう言って中村刑事は電話を切って

「悪いが、君の事件の当日に履いたスニーカーを借りていきたいんだ」

「これがそうです」

と中山正弘は玄関に出ているスニーカーを指差した、中村刑事は

「それでは、このスニーカー借りて行くよ、それと何かあった時は又、話を聞きに来るか

ら頼むよ」

中山正弘は

「はい」

と返事をした、中村刑事と清田刑事は、署にそのスニーカーを持って帰った。

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因縁(8)

四之宮の葬儀場に着くと保雄は、入り口にいた女性に聞いてみた

「すいませんが、今夜ここで中原さんの通夜があると聞いたんですが?・・・・」

「はい、今、祭壇の飾り付けをしてます、それと内の者が中原さんの自宅からご遺体を

こちらに運んで来るように今、自宅の方に行っていますので・・・・・」

「そうですか、中原さんの会社の方は、今こちらに見えているんですか?」

「はい、会社の方でしたら、今、案内看板を取り付けに歩いて貰っていますので、もう

終われば、こちらに戻られると思いますが?」

「そうですか、どうもありがとうございました」

保雄はそう言って、会社関係の人が帰るのを待っていた、暫くして3人の男性が話し

ながら帰って来たので、保雄は聞いてみた

「すいません、中原修さんの捜査をしてる関係者ですが、ちょっと伺いますが、こちらで

今夜、通夜をやる中原さんの会社の関係者の方でしょうか?」

「はい、そうですが」

「実は、大変ぶしつけな質問で申し訳無いのですが、会社の社長さんの中原修一さん

は社内では、社員の皆さんの評判は、いかがでしたでしょうか、会社で何か問題でも

あったと言うような事は無かったですか?」

「確かに、ワンマン社長で、誰も社長には文句を言う人間はいなかったと思いますが

まさか、その事が原因で修君が殺されるなんて考えられませんが・・・・・」

「そうですか、特に社長を怨んで、会社を辞めた方はいませんでしたか?」

「あぁ、何人かいますが今は何処で働いているかは分かりませんね、それにその人達

が殺人なんか、するような事は考えられませんね」

「そうですか、その方々の名前と住所は葬儀が終わった後で、事務所で分かりますね

一応、参考までにですが・・・・」

「えぇ、分かると思いますよ」

「そうですか、では後日でも事務所に伺います、お忙しい処ありがとうございました」

保雄は後日、葬儀が終わってから「村田か彼の後輩の川瀬に「中原工業」に行って

貰うかな」と考えていた、それから4日後の夜、保雄は村田の所に電話した

「もしもし、あぁ、俺だけど、実は今日、昼間「中原工業」の事務所に電話して社長との

関係で喧嘩か何かで会社を辞めて行った社員がいたら、その人の住所と名前を伺い

たいと、実は悪いと思ったが警察の名前を出して言ってしまったんだが、出来たら

お前か、或いは後輩の川瀬君にでも「中原工業」に行ってその退職者名簿を取りに

行って、参考資料にしてほしいんだが」

「そうか、お前は、前に会社にいた退職者を疑っているのか?」

「そうなんだよ、実は通夜の日に会社の人間に、社長の会社での社員の方の評判を

聞いてみたら、社長はワンマンで意外と、彼と喧嘩して止めていった人間が数人いると

聞き込んだんだよ」

「そうか、分かった、それでは明日昼休みに俺が取りに行くが、それで大丈夫か?」

「あぁ、それでいいよ、それで引っ掛かる事があったら、こちらにも少し話してくれたら

有り難いんだがな・・・・・」

「あぁ、それは、又、電話するよ、それじゃぁ明日、行ってくるよ」

「よろしく頼むよ、じゃぁ」

そう言って保雄は電話を切った、保雄は依頼人から頼まれた北村信一が誰にやられ

たのか、まだ一向に掴めなかった、翌日、保雄はもう1度原点に戻り、北村の小学校

から中学、高校と友人を探して聞き込むかと思い北村信一の自宅に伺い、妻の明子

に再度、聞いてみた

「奥さん、どうもたびたび伺いましてすいませんが、ご主人の小中学校、或いは高校の

同級生名簿か、卒業写真のような物があったら、見せて頂きたいのですが?」

「はい、何処かにしまってあると思いますので、少々お待ちください」

と彼女は奥の部屋に入って調べているようだった、保雄は玄関で暫らく待っていると

「どうも、お待たせしました、これでいいでしょうか?」

保雄は中学校の卒業写真と卒業者の住所氏名が書いてある住所録を見て

「どうもありがとうございました、ご主人は何組にいたんでしょうか?」

「はい、3組と聞いています」

保雄はページを捲り

「ここですね、ご主人は何処にいます」

「ここです」

と妻の明子が写真を指差した

「あぁ、すいません、それで、この中の方でご主人が特に仲良くされていた方は何方か

分かるでしょうか?」

「はい、主人から聞いています、この林辰夫君です」

「そうですか、他はいませんか?」

「後は木村君ですかね、ここにいる方です」

「そうですか、すいません、ちょっと2人の住所を書かせて貰いますので」

そう言って、保雄は、林辰夫、と木村茂の住所を書いて

「奥さん、どうもお忙しい処、ありがとうございました、この2人の方に聞いて見る事が

ありますから、また伺いますどうも失礼しました」

そう言って、保雄は事務所に戻り、所長に報告した、川崎所長は

「まぁ、焦らずに頑張ってやってくれ」

そう言って励ましてくれた、その夜、保雄の所に村田から電話が入った

「もしもし、あぁ、俺だがな、今日、例の名簿、会社から貰って来たよ、一応、捜査課長

に、見せたら、早速捜査してみると言う事だ、助かったよ何か出たら必ず報告するよ

それだけだ」

「そうか、良かったでは又、電話くれ」

そう言って保雄は電話を切った、保雄は「中原工業」を喧嘩退職した者の中に犯人に

繋がるような人間がいるか、早く連絡が村田からあればいいと思っていた、しかし社長

を殺すなら分かるが、何の罪も無い息子を殺すなんて、そんな事をやる奴がいるかな?

いや、腹いせにそう考える奴がいても可笑しく無いな?とも考えていた、その夜も

保雄は中々寝付けなかった。

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因縁(7)

平塚警察の主任刑事の久本と高橋刑事は現場検証で主人の中原修一からは

話を聞いたが、慌てて帰って来た妻の良子には、彼女が落ち着いてから話を聞いた

久本主任は

「奥さん、奥さんは今まで、何処にいられたんですか?」

「はい、主人とちょっとした事で喧嘩しまして友人の家に泊まっていました」

「すいませんが、その友人の方のお名前と住所を教えてください、一応調べる義務が

我々にはありますので・・・」

「はい、青田弓江さんです、住所は市内の桜ヶ丘13-7です」

「分かりました、どうもすいません、それで息子さんの高校ですが平塚工業高校と聞い

ていますが、学校で何かトラブルのような事があったと言う事は聞いていませんか?」

「いえ、そのような事は息子から聞いていませんが・・・・・」

「そうですか、お宅にその高校の友人が来たと言う事は無いですか?」

「私の知っている限りではありませんが、私のいない時に連れて来たら分かりませんが」

「そうですか、分かりました」

久本は近所に目撃者探しを聞き込んで帰って来た、石川と中原刑事に

「どうだった、目撃者はいたか?」

「はい、数件聞き込んだのですが広田さんという現場から15mくらい離れた家の方が

庭掃除をしていた時、確か事件当日の13日夕方の5時半過ぎ頃と言っていましたが

若い男が自宅の前を、走って東の方向に行ったのを見ていました、服装は紺の

ズボンに水色のワイシャツのようでしたと又、身長は170㎝前後だったと言う事で

野球帽を深く被っていたと思う、と言う事でした」

「年齢は分からなかったのか?」

「はい、何か学生のようにも見えましたが、それはハッキリ分かりませんと言う事です」

「そうか、では明日、学校に行って、害者と仲が良かった者と、悪かった者がいたら

その、学生に事情を聞いてみてくれ」

「はい、分かりました」

「処で両隣の方は、害者の悲鳴か何か、聞いて無いのか?当たってみたか?」

「はい、両方のご家庭には、ご老人がいましたが、テレビの音で聞こえなかったと言う

事です」

と、そこに葬儀社だと言う男性2人が入って来た社長の中原修一は実弟の中原良雄

と2人で別の部屋に葬儀社の者と入って行った、主任の久本は玄関の前と中の足跡

を検証していた、鑑識官に

「犯人の足跡が出ればいいがな?・・・・あと宜しく頼むよ」

そう言って一旦、署に引き返し、捜査会議を行なう事にした、その後、久本は

「それでは、中原修刺殺事件の捜査会議を始める、始めに概要を簡単に説明すると

本日、9月13日午後8時05分頃、中原修一「中原工業」社長が帰宅した所、玄関内

で息子の修16歳「平塚工業高校1年」が胸に包丁を刺されたまま、倒れていたのを

父親が発見して110番して来た、犯人は玄関が開いたと同時に彼を刺して逃げたと

思える、これは変質者か怨恨、以外に考えられない、包丁には指紋は無かったので

犯人は手袋をしていたと思われる、それで凶器のこの包丁の出所を捜査してくれ又

玄関先と中に足跡があったので現在、鑑識で照合中と言う事だ、また害者の家庭の

関係は父親の中原修一60歳その妻良子54歳、長男の中原有二30歳その妻の香織

28歳、それと修一社長の実弟で会社の専務をしている、中原良雄56歳、その妻文子

53歳が現在まで、現場の自宅に来た者で分かっている関係者だ、また死亡推定時刻

は本日の夕方5時から6時の間で現在まで目撃者は出てい無い、これからの捜査は

怨恨の線で捜査してくれ、変質者リストはこちらにあるので調査させる・・・・・質問は?」

「はい、怨恨と言う事は、学校関係者、詰まり友人関係の中に犯人がいると言う事で

しょうか?」

「そうとも言えるが、中原社長は資産家だから、その関係の恨みとも考えられるし、又

会社の中で、何か、ごたごたが無かったかを捜査する事も重要だな」

「と、言う事はもしかして、犯人の本当の目的は社長だったのでは・・・・・」

「わからんな、しかしそれなら最初から社長が帰る時間を調べて置くのでは無いかな?

とにかく犯人は、何か配送人を装ってドアーを開けさせたと言う事だな明日から全ての

関係者の聞き込みを、宜しく頼む、以上だ」

その頃、保雄は自宅で、この中原修の事件は、あの中原有二の妻の香織の父親の

北村信一が殺害された事件と何処かで繋がってるんでは無いかと考えていたが中々

考えが出て来ない苛立ちで保雄は、冷蔵庫から缶ビールを出して飲みながら考えた

中原有二はスナック「サフラン」の二宮雅子と不倫関係にある、その依頼者の父親の

北村信一は刺殺された、また中原有二の弟の修が自宅で刺殺された凶器はどちらも

包丁と言う事だ、犯人が同一犯とすると、いったい2人をやった動機は何なんだ?

北村信一が義兄に金を貸していたそれを催促されて、義兄の君島良二が信一を

やったとしても、君島と高校生の中原修とは繋がらない? 犯人は別々の人間なのか?

中原修をやる動機を持った人間は?・・・・分からないな?・・・・学校関係者か?」

保雄はそんな事を考えると中々眠れなかった、翌日、保雄は中原修の自宅の近所で

聞き込みを始めた、被害者の中原修の住所は市内四之宮7214だった、保雄は近くで

駐車場を探してそこに車を止めて、歩いて現場近くの自宅の聞き込みを始めた、しかし

時間的にちょうど5時から6時と言うと夕飯時の為、中々目撃者は見付からなかった

仕方なく保雄は10件ほど聞いて歩いたがダメだったので駐車場に戻って、中原修が

通っている工業高校を尋ねた、保雄は、昼休みの時間を狙って職員室に向かった

「すいません、私は捜査関係の者ですが?」

と切り出した、すると先生らしい方が

「先程、別の方が2人で見えられましたが、今度はどのような事でしょうか?」

「すいません、中原修君は何かクラブに所属していましたでしょうか?」

「あぁ、彼はブラスバンド部にいて、トランペット吹いていましたが」

「そうですか、その担当の先生は今、お出でになられますか?」

「はい、私がそうです、窪田といいます」

「あぁ、そうでしたか、で、中原君はどのような生徒でしたでしょうか?」

「真面目に部活はやっていましたが?」

「最近、彼に何か変わった点があったような事は、無かったでしょうか?」

「いや、特に何も無かったと思いますが」

「そうですか、彼と良く一緒にいた生徒は何方でしょうか?」

「中山くんですが先程の刑事さんにも彼は聞かれていましたが、帰る方向が同じなので

良く一緒に帰っただけだそうですが・・・・・」

「そうですか、分かりました、ありがとうございました」

そう言って保雄は一旦、事務所に引き返した、事務所に着くと春子が

「お帰りなさい、何か収穫はあったんですか?」

「いや、まだまだ、これからだよ、害者の北村信一といい今度の中原修といい犯人の

動機がハッキリしないんだ北村信一は竹田藤男の父親の竹田一男当事30歳を28年

前にひき逃げして7年間交通刑務所に入ってお勤めを終えている、その被害者の竹田

一男の息子の藤男が今さら28年もたって、父親をひき逃げした北村信一をやるはず

が無いと思うのだが・・・・・春ちゃんどうかな?」

「そうね、その北村が出所してから、ちゃんと竹田の家に行って仏壇の前で手を合わせ

て、謝っていれば問題無いと思うんですけどね」

「そうか・・・・んーもしそれをしていなければ、やはり恨みは残るか?それと今回の中原

修だがまだ高校1年だよ、いったい誰の恨みを買ったと言うんだ?高校生同士の喧嘩

で殺人までやるか?・・・・・・・何か他の動機があるんじゃぁなかかな?」

「でも、最近の高校生は怖いからね、分からないわよ」

と春子がそう言った、保雄は春子が入れてくれたお茶を飲んで、今度は「中原工業」の

社員から何か聞けるかと思いまた出掛けた、会社の前に着くと張り紙が出ていて通夜と

告別式の時間と日にちが出ていた、通夜と告別式は四之宮の葬儀場で今日9月14日

夜7時から、告別式は明日の15日午後1時から2時までとなっていた、保雄はそれを

手帳に書き込んで、通夜の行われる葬儀場に行ってみた。

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因縁(6)

翌日から保雄は、依頼人の中原香織から依頼された事件の調査をする事にした

先ず始めに保雄は、目撃者が、まだ他に居るのでは無いかと見付町の事件現場の

近所の自宅を聞いて歩いた、すると現場から10メートルくらい離れた鈴木さんと言う

家の方が

「あの夜11時少し前当たりに19歳の娘の帰りが遅いので、近くを見に行って帰りがけ

に、男が前方から走ってくるに出会わせて急いでその男を避けたんですよ、ぶつか

りそうな感じでしたんでね、それと男は上下黒い服装で身長は170cmくらいで年齢は

暗かったので、ちょっと分からなかったです、その後直ぐに自動車のエンジンを掛ける

音がしたので、多分その男が逃げて行ったのかも知れません」

と話してくれた、保雄は、お礼を言って、もう1軒の自宅を聞き込んだが

「その時間はもう寝ていましたよ」

と、言う事であった、その後、保雄は北村信一のやっている運送店に行き

「娘さんの香織さんから依頼されました探偵です」

と言って、話を聞いた

「奥さんそれで、ご主人の信一さんは誰かに怨まれるような事は無いと言う話を香織

さんから聞いていますが、奥さんや娘さんの知らない所で誰かに恨みを買っていたの

かも知れませんので、飲み仲間の方とか学校時代の方とか会社関係の方とか思い出し

て、貰えませんか?たとえば誰かの名前を言っていた事は無かったですか?」

妻の北村明子は暫く考えていたが、何かを思い出して

「そうー確かもう6年位前ですが、あの人が飲んで帰る途中で車がひき逃げで子供を

跳ねた所を見たので、その車の前に飛び出てその車を止めたと言っていました夫は

「いやー驚いたよ俺は酔っていたから出来たんだが、普通ならとても出来なかったよ」

と笑って、その時は言っていましたが彼は昔、自分がやった事が頭の何処かに何時も

あったんでしょう」

「そうでしたか、その事故を起こした所は何処と、ご主人は言っていましたか?」

「はい、それは旧国道1号線の柳町の田中歯科医院の前だと聞いてます」

「そうですか処で、その子供が何処の病院に行ったか分からないでしょうね」

「そうですね、分からないですが、しかし、あそこなら1番近いのは市民病院ですが・・・」

「そうですか、分かりました、どうもありがとうございました」

保雄は、その病院と運転していた男を明日にでも調べてみる事にした。

君島良二は北村信一の2歳上の義兄で彼は、父親の前妻の子供で小さい時から唄が

好きで、現在、売れない演歌歌手だった、彼は54歳の現在まで独身で最近は仕事も

無く、食べるのにも困った生活をしていたが、2年前に彼は平塚市内を歩いている時

バッタリと義理の弟の北村信一に出くわした、その時、信一が知っているスナック「渚」

に行って信一がおごった時から、時々、信一を頼って金を借りていた、もう十数回で

130万くらい、君島に信一は金を貸していた、しかし1度も返さない彼に信一は

「お前は全く金を帰す気が無いんだな、もう2度と貸さないから、2度と来るな!」と怒り

自宅から追い返した、その後、君島良二は何処に行ったのか不明であった。

その夜、保雄の所に初めて平塚警察の捜査課にいる、先日、村田から紹介された

川瀬清から電話があった

「こんばんは、ご無沙汰しています、村田さんの後輩の川瀬ですが、先日はどうも」

「やぁ、初めてだね君から電話を貰うのは、それで、今日は何かあったかな?」

「はい、まだ、ご存知無かったですか?」

「何が、あったんだ」

「はい、殺しです、今日、市内にある「中原工業株式会社」の社長の次男の中原修

16歳が自宅の玄関で正面から胸を刺され殺害されていました、第一発見者は父親の

中原修一で

「会社から帰って玄関を開けると息子が倒れていた」と言う事です、死亡推定時刻は

夕方5時から6時の間ではないかと言う事です、凶器は包丁が胸に刺さったままで

指紋はその凶器から出なかったと言う事で、恐らく手袋か何かをしていたと思われ

ます、警察では犯人はドアーが開いたと同時に刺して逃げた、殺しが目的でやったと

見ています」

「そうか、どうもありがとう、16歳と言えばまだ高校1年生か?可愛そうに、いったい

誰が、何の恨みで・・・・・許せないな」

「はい、一応、怨恨と変質者の線で捜査する事になりました、それと調査されて、もう

ご存知かも知れませんが、実は先日殺害された北村信一のその後の捜査で、彼には

父親の前妻の子供、詰まり北村信一の義兄がいました、その男は売れない演歌歌手で

現在、何処に住んでいるかは不明ですが、数年前から北村に金を借りて現在その金額

は積り積もって130万くらいになるそうです、それを北村は最近亡くなる寸前まで誰にも

言わないでいたと妻の明子が話したと言う事です」

「そうか・・・演歌歌手か?分かった、ありがとう、こちらは、北村が殺害された現場

近くで、近所の人が娘の帰りが遅いので、迎えに行って暫くして帰る途中で男が走って

来て、それを避けたが、その男が犯人だとすると、身長は170cmくらいでやはり上下

黒い服装だったが、男性の年齢は分からなかったと言う事だよ」

と保雄は話した

「そうですか、目撃者が1人増えたと言う事ですね」

保雄は

「あぁ、そう言う事だな、どうも今夜はありがとう、また宜しく頼むよ」

「いえ、とんでもないこちらこそ頼みます、では失礼します」

そう言って、川瀬は電話を切った、保雄は受話器を置いてパソコンを開いた、その時

また、電話が鳴った、保雄は電話に出ると

「もしもし、俺だよお前、長い電話してたな、何の用事だったんだよ」

と村田が出て言った

「いや、たった今、お前の後輩の川瀬君から今日「中原工業株式会社」の社長の息子

中原修16歳が、玄関で刺されて殺されていたと、それに第一発見者はと父親の

中原修一だったと言う事と、死亡推定時刻は夕方5時から6時の間で、まだ胸には

包丁が刺さったままだったと言っていた、それにまだ16歳と言ったらまだ高校1年生だ

これは怨恨の線だとしか思えないな」

「そうだな、実はその中原修の母親が、2日前に家を出て未だに連絡が無いと言う事で

何でも些細な事で父親と喧嘩したとかで、何時も1週間くらいは友人の所にいるので

こんな事になって中原社長が驚いて電話したら、大変驚いて直ぐに戻ると言っていたと

言う事だよ」

と村田が言った

「そうか、分かった、それにしても大変だなまだ、北村信一の事件が途中なのに・・・・」

「それは、何時もの事だからな、それじゃぁまた連絡するよ」

と言って村田は電話を切った。

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因縁(5)

保雄が事務所に帰ると、依頼人の中原香織がソファーに座って待っていた、保雄は

「どうも、すいません、お待たせしました」

「いえ、今、来た処です、すいませんそれでは結果を・・・・」

「はい、今、お持ちします」

と保雄は自分のデスクの引き出しから、A5サイズの封筒を取り出して彼女に渡した

受け取った彼女は、その中から報告書を出して暫らく目を通していた

「分かりました、それで、お手数掛けついでに、もう1つお願いしたい事が出来ました

ので、お願い出来ますか?」

「はい、どのような事でしょうか?」

「実は、5日前の見付町の殺人事件をご存知でしょうか?」

「はい、新聞でもテレビでもやっていましたので、知っていますが・・・」

「あの時に殺されたのは、私の父親なんです、私は中原と結婚する前は北村香織と

いいました」

「そうだったんですか?・・・・・で、どのような事を調査しますか?」

「はい、警察は犯人を当然捜していると思いますが、私達、被害者の身内の者にも

中々情報を教えてくれませんので、こちらでも犯人の事を調べて頂きたいと思います

それが、私のお願い何ですが・・・・」

「そうですか、そうしましたら、出来るだけ、お父さんの事を貴女が知る限りの情報を

私どもに教えてくれませんと・・・たとえば、お父さんのお友達の方の住所と名前とか

また、仕事の関係者とか学校時代の事とかですが?」

「はい、これは、調査すれば、いずれは分る事ですからお話しますが、私の父親は

もう28年も前ですが、交通事故で人をひいて逃げた所で捕まり、交通刑務所に7年間

入っていました、被害者の竹田一男さんには、私達家族が働きながら毎月、お金を

帰して来て約20年間で返済が終わりました、それで、仕事が運送業と言う仕事だけに

父親は毎日の車の運転がトラウマになり、仕事が終わると、お酒に頼るような生活に

なっていたんです、本人も内心苦しんでいたんでしょう、それは家族は皆分かっていま

した、しかし何処で何があったのか分かりませんが、殺されるなんて考えてもいません

でした、それで貴方に調査をお願いしたいと・・・・・」

「分かりました、難しい事件かも知れませんが、調査をしてみたいと思います」

「それでは、この夫の浮気調査の金額は、おいくらでしょうか?」

「はいでは、今」

と保雄は春子が書いた領収書を彼女に見せた

「はい、ではこれで・・・・」

と彼女は支払いをして

「それでは、また、調査が終わりましたら電話してください、それで途中経過などは聞く

事は出来ますね」

「あぁ、調査出来た処までは、お話が出来ると思います」

「分かりました、それでは、宜しくお願いします」

と言って彼女は出て行った、保雄は平塚署にいる村田に携帯電話をして聞いてみる事

にした

「もしもし、私は鑑識課にいます、村田亮君の友人ですが、彼に伝言お願いしたいの

ですが」

「はい、どうぞ、ご用件は?」

「はい、昼休みに私、豊田といいますが、電話をくださいと伝えて頂きたいのですが」

「分かりました、豊田さんですね、」

「はい、そうです」

「お伝えして置きます」

「よろしくお願いします」

と言って、保雄は電話を切った

「中原株式会社」の社長の中原修一には、もう6年も前から妻の知らない女性がいた

彼女の名前は千葉由美子42歳で、中原社長とは6年前に彼が彼女の息子当事8歳を

車で跳ねた、車は直ぐに止まらなかったので側を通った男性が車の全方に飛び出て

車を止めてくれた、彼女はその人にお礼を言ったが、その時は気が動転していて彼の

名前は聞かなかった、その時、運転していた中原修一は

「逃げたんじゃぁ、無いですよ、車を止める場所を探したんです」

と言い逃れをした、その後、救急車を呼んで病院に運んだ幸い足に軽い怪我をしたが

中原はその後、毎日のように病院に見舞ってくれた、それが初めての出会いであった

その時、千葉由美子は中原に対して最初は印象は良くなかったが、段々、彼の誠意

が分かったのか、昔話などをして来た、彼女は夫と離婚して3年目であった2人は

会ってから、6ヶ月目に自然的に男女の関係になっていた処が、知らぬは夫ばかりなり

で、実は中原社長の妻の中原良子54歳は彼に女がいる事は、もう5年も前から知って

いて知らない顔をしていたのだった、処が最近、ちょっとした夕食のオカズの事で喧嘩

になり、良子は

「そんなに私が作った物が食べられないなら、あの女のに作って貰ったら!」

と、つい爆発してしまった

「だから俺は、お前のような女が1番、嫌いなんだ!」

「そう、それでは離婚しましょう、慰謝料はたっぷり頂くから、覚えてなさいよ!」

「バカ、お前にはもう幾ら金をやってると思ってるんだ!もう1円もやる積もりは無いよ」

「弁護士を頼むから、その時は泣かないようにね!」

そう言うと妻の由美子は、自家用車で何処かに出て行った

平塚警察の捜査課では、捜査会議が行われていた、主任刑事の久本が

「それでは今日の結果報告を、高橋君から頼む」

「はい、私と吉田刑事は北村信一が28年前に起こした、ひき逃げ事故の被害者の

竹田一男の錦町の3-17の自宅、貸家に行きましたら、まだ、妻の秀子55歳が

1人で住んでいました、仕事は現在、スーパーのレジをやっていると言う事です、また

息子の藤男は宝町の3-6の賃貸マンションに結婚して奥さんと子供1人と住んでい

ました、双方の事件当夜のアリバイを聞きましたが、自宅に居たと言う事で証明する

人間は家族以外いません」

「そうか、その長男の藤男の勤め先は?」

「はい、市役所の年金係にいます」

「分かった、で、今回の害者の北村信一の交友関係はどうかな?」

「家族にもう1度聞き込みましたが中学校の友人で千石河岸12-9に住む熊田進さん

と言う方の自宅に行き伺いましたが「時々酒を飲むが、恨んでいた人なんて知らない」

と言う話でした、本人は車の修理工場でやはり2代目の社長でした、店は自宅の隣に

ありました、当夜のアリバイは「もうその時間では寝ていたよ」と言う話でした」

「そうか、それでは、ひき続き害者、北村信一の交友関係を捜査してくれ、以上だ」

その夜、村田から保雄に電話があった

「やぁ、今日は悪かったな電話出来なくて仕事が込んでいてゴメン、処で何の話なんだ」

「あぁ、実はな、俺の今回の依頼人だが先日殺害された北村信一の実の娘さんだった

んだよ、それで今度は彼女、犯人を探してくれと俺に捜査以来して来たんだ、警察は

何も情報を教えてくれないからと言うのが、その理由だそうだ、処で捜査は進んでいる

のか?」

「いや、今は害者の交友関係を捜査中と言う処だよ」

「そうか分かった、俺も協力させて貰うからな?それだけだよ、それじゃぁ又」

と言って保雄は電話を切った。

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因縁(4)

翌朝、新聞配達の若い男性が見付町の体育館の裏の路地で、男性が背中から血を

流して倒れているのを発見して110番して来た、平塚警察では直ぐに捜査課の刑事

と鑑識官が現場検証に向かった、主任刑事の久本は

「これは刺殺か、ひどい出血だな、凶器はナイフか包丁だな?」

「そうですね、背中を数回刺された感じですね」

「で、凶器は出たのか?」

「いや、現在、探していますが恐らく犯人が持ち去ったのでは無いかと思われますが」

高橋刑事が

「主任、これは物取りの犯行では無いですね、財布には現金が3万6千円そのまま

残っています」

「そうか、怨恨か?それで害者の身元は分かったのか?」

「はい、免許証から害者は北村信一52歳でショルダーバッグの中から、この近くの

北村運送と言う会社の書類が入っていましたので、そこの社長か身内の者ではない

かと思われます、今、河瀬君と山本君に当たって貰ってます」

「そうか、分かった」

主任の久本は鑑識官に

「死亡推定時刻は分かったのか?」

「はい、おおよそ昨夜の10時半から11時半の間では無いかと・・・・」

「そうか、分かった、後、宜しく頼む」

そう言って、久本は高橋刑事に

「この近所の方に、その時間、誰かを見たとか、何か物音を聞いたとかと、言う事が

無いか聞き込んでくれ」

「はい、分かりました」

久本は署に電話して、帰ったら、捜査会議を行なう事を捜査課長に話した、その後

平塚署では捜査会議が行なわれていた、捜査課主任の久本は

「今日の害者の自宅に行った河瀬君報告をしてくれ」

「はい、害者の北村信一は親の代から運送業をやっていまして詰まり2代目の社長と

言う事になります会社の従業員は4名であと本人と奥さん1人息子が手伝っていました

殺害されるような理由を聞きましたが、奥さんも息子さんも「そのような恨まれる覚えは

無い」との事でした、害者は昨夜、近くの居酒屋「ひょうたん」で飲んだ帰りに何者かに

刺殺されたと言う事ですが「ひょうたん」の聞き込みでは、誰かと喧嘩をしたと言う事も

無いと言う事でした又、そこの従業員の方、出掛けてましたが1人り帰って来ましたので

聞いた処、その方の言うには、皆、旨く仕事はしていて、特に社長を恨んでいるような

人はいないとの事でした」

「そうか、それで、近所の聞き込みで、分かった事は無いか?」

「はい、現場の直ぐ側の山田さんと言う方が、やはり飲んで帰った時、玄関の処で男

の大声を聞いて、見たら黒い上下の服装の男が、北方向に逃げていく所を見ていま

したが彼も酔っていましたので薄覚えでハッキリとした証言ではありません、喧嘩だと

思って、直ぐに寝てしまったと言う事です」

「そうかわかった、害者の北村信一だが彼の前歴を調べた処、もう28年も前だが当時

ひき逃げ死亡事故を起こして7年間のお勤めをしていた、その時の害者は竹田一男

当時30歳だ、今回の事件に関係があるか無いか分からないが、その竹田の家族が

当時、住んでいた錦町3-17の貸家に住んでいるかどうか、捜査してくれ、それと

当然だが害者の交友関係を徹底的に捜査だ、これは恐らく怨恨による殺人事件の

様相が強いと思われる」

久本主任は

「課長の方から、何かありますか?」

「ん、それでは全力で当たってくれ、宜しく頼む、以上だ」

捜査会議は終わり、各刑事は2名に分かれて捜査に出て行った

その頃、保雄に村田から電話があって

「俺だよ、昨夜、見付町の体育館裏の路地で刺殺事件があったが知ってるか?」

「本当か、いや、知らなかったよ」

「ん、害者は北村信一52歳で近くの、北村運送の社長だそうだ、凶器は包丁のような

物で背中を数回刺されて、ほぼ即死状態だったらしい、死亡推定時刻は昨夜、だから

9月の7日夜10時半くらいから11時半までの間で、凶器は近くを探したが見当たら

ないと言う事なので、犯人が持っていったと考えられるようだよ」

「それで、目撃者は?」

「会社の帰りに酒を飲んでの帰り、自宅の玄関先でサラリーマンが見てるが、男性で

黒っぽい服装の上下だったとしか覚えていないんだ、酔っていたんで余りあてにならな

い何でも喧嘩だと思って、寝てしまったと言う事だよ」

「そうか、分かった、何か協力する事が出来たら言ってくれ、それじゃぁ又」

と言って保雄は電話を切って、事務所に出掛けた、事務所に着いた保雄は早速、所長

の川崎に聞いた

「すいません、調査報告書を書くのは初めてですので、教えて頂きたいのですが?」

「ん、春子ちゃん!彼に教えてやってくれないか?すまんな俺はこれから、直ぐに

出掛けないといけないんでな」

そう言って彼は出てい行った、保雄は春子に

「所長は今、どんな事件を調査してるのかな?」

「同じよ、不倫関係の調査依頼」

「そうか、平塚での?」

「そう、平塚と藤沢の人らしいわよ」

「そうなのか、所長も大変なんだ・・・・・そうだ、悪いけど書き方を頼むよ」

「えー、取り合えず分かる所だけ書いてみて、後は教えるから」

保雄は、分かる処を書き込んで、春子に聞きながら、調査報告書を書き上げた

「よーし、これで、依頼人の所に電話が出来るな」

そう思って、彼は先日依頼に来た、中原香織の携帯に電話した

「もしもし」

と保雄が言うと、彼女が電話に出た

「すいません、こちらは、川崎探偵事務所ですが、先日、依頼された件が、調査終わり

ましたので、来て頂きたいと思いまして・・・」

「あぁ、すいませんが、今、取り込んでいますから、後日、電話しますので、すいません」

と、言うと直ぐに電話が切れた

「何があったのかな?」

保雄は仕方なく電話を切って彼女から電話が来るのを待つ事にした、4日後、依頼人

の中原香織から電話があった

「もしもし、中原香織ですが、先日はどうもお電話を頂いて・・・・それで今日、これから

伺いますので、お願いします」

留守番の春子は

「はい、それでは、お待ちしています」

「すいません、先日の若い方はいませんですか?」

「はい、今、出掛けていますが・・・・」

「すいませんが、先日の方に話がありますので、何時頃、帰られますか?」

「それでは、今、電話して、帰るようにしますので、ちょっとお待ちください」

と、春子は保雄に電話してその事を話した、春子は

「今、彼に電話しましたら、直ぐに帰えると言う事ですので・・・・・」

「そうですか、分かりました、ではこれから伺います」

と言って電話が切れた。

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因縁(3)

翌日、朝、保雄の所に平塚警察にいる村田から電話が入った

「おい、今日、夜、お前に紹介したい男がいるんだが都合はどうかな?」

「んーちょっと仕事・・・・ん、どうかな俺の知っているスナックにその人を連れて来て

貰う訳にはいかないかな、実は今夜、ある仕事で、そこのスナックの女性を張り込む

積もりで居るんだが?」

「あぁ、そうか、浮気の調査か?」

保雄は

「そうなんだよ、それなら今日でも構わないんだがな?」

「分かったよ、それで何時頃ならいいんだ」

「そうだな、お前の方は時間はどうなんだ?」

「出来たら8時頃でいいかな?」

「あぁ、構わないよ」

「そうかではその時間に何処に行ったらいいんだ?」

保雄は

「ん、明石町のスナック「サフラン」と言う所だ明石町公園の近くなので直ぐに分かるよ」

「分かった、それじゃぁその時」

と村田は言って電話を切った、保雄は昨日、有料駐車場に置いて来た車を取りに行き

事務所に寄ってから、その日も中原有二のいる石田不動産を張り込んだが、今日は

彼に特別、動きは無かった

「週に3回くらい来てるわよ」

とスナック「サフラン」の女性が言っていたので、今日は動かないと思ってはいたが、又

どんな事があるか分からないので、張り込んでいたが

「又、明日動くのかな?」

そう思って保雄は夜8時に又、車を駐車場に止め村田と約束したスナック「サフラン」の

に入った、中に入って見回すと、村田と、もう1人若い男性がボックス席に座っていた

保雄が来たのに気が付いた村田は

「よー!」

と言って手を上げた、保雄は

「イヤー待たせたかな?」

「いや、今来た処だよ、こちら俺の大学時代の同級生で豊田保雄さんだ」

と村田はもう一人の男性に言った、男性は立ち上がって

「どうも、初めまして川瀬清です」

「あぁ、どうも初めまして豊田保雄です、宜しく」

と言って3人は改めてビールで乾杯した、ビールを飲み干した後、村田が

「実は彼は俺の高校の後輩で、昇進試験で合格して今度、捜査課に配属になったんだ

それで、お前に何かで又、協力関係に慣れたらいいと思って紹介したんだよ」

「そうか、それはどうも、で言って置いたのか?」

「いや、これから話すよ」

と村田は川瀬に

「実はな、川瀬君、彼は川崎探偵事務所と言う所で働く探偵さんなんだが、俺と彼とは

色々と情報の交換をし合っているんだよ、お互いの為にな、当然、警察にも、彼にも

「守秘義務」がある事は分かってるんだが・・・・・そうだからお互い「ひとり言」を言って

るんだよ、だから君にも、たまに「ひとり言」を言って彼に協力して貰いたいと思ってな」

「そうですか?分かりました、お互い様ですからいいんではないですか?私はそんなに

カチカチ頭の人間では無いですよ」

と彼は笑って言った

「そうか、それは良かった、今日はゆっくり飲んで行こうか」

と村田は言った、保雄は

「彼は以外に話の解る男のようだ」

と、そう思った、保雄は村田達と飲みながらも時々雅子から目を離さずに、彼女を見て

いた、又お店の終わる時間が来た、保雄はタクシーを2台頼んで村田と川瀬は、その

1台のタクシーで帰って行った、保雄は又タクシーを店から離して止め雅子が出て来る

のを見張った暫らくして店の前にタクシーが止まった、雅子が出て来て乗った所を確認

して保雄は、その後を離れて付いて行ったタクシーはJRのガード下を通り松風町の

5階建てのマンションに着き、そこで雅子は降りて中に入って行った、保雄はタクシーを

待たせて、その後を付けた、エレベーターが5階で止まったのを確認して保雄は

「よし、今日はこれで帰って明日の夜、彼女が店に出た後で5階の住人に聞き込んで

みよう」

そう思って帰宅した、翌日、保雄は松風町3-27の雅子のマンションに夜、出掛けた

エレベーターを5階で降りて直ぐの自宅のインターホンを押した

「はい、どなたでしょうか?」

「夜分すいません、私はある調査をしている調査員ですが、こちらに20代半ばの夜の

お仕事をされている、名前が雅子さんと言う女性の方は、住んでいますでしょうか?」

「あぁ、二宮雅子さんの事ですね、お隣のお隣の3号室の方です」

「そうですか、彼女は独身でしょうか?」

「そう言っていましたが、でも2回ほど土曜日に男性が車で彼女を迎えに来て何処かに

出掛けて行ったのを見ましたよ」

「そうですか、すいませんが、ちょっと写真を見て頂きたいのですが」

「分かりました、今、開けます」

と言うと直ぐに玄関ドアーが開いて40代くらいの女性が出て来た

「あぁ、どうも、わざわざすいません、その男性は、この方でしょうか?」

と、保雄は中原有二の写真を見せた

「あぁ、そう、そう、この方でしたよ」

「そうですか、どうもありがとうございました」

とお礼をいい、保雄は事務所に帰って報告書の書き方を教えて貰おうと思い、急いで

事務所に戻った、しかし事務所はどうしたのか早く閉まっていた、保雄は所長の携帯に

電話した

「もしもし、所長ですか、豊田ですが、今日は早く事務所を閉めたんですね」

「あぁ、春子ちゃんがお腹が痛いと言って早く帰ったんだよ、俺は今、男を尾行中だ

君も、終わったら帰っていいよ」

「そうですか、明日、報告書が書けそうです、それでは失礼します」

保雄はそう言って帰宅した。

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因縁(2)

翌日、保雄は又、同じように中原有二がいる、石田不動産を張り込んでいた

夜、7時過ぎ、中原が今日は駐車場には行かずに、同じ会社の人間なのか、2人で

タクシーに乗り出掛けて行った保雄はそのタクシー後を付けた、タクシーは明石町の

スナック「サフラン」と言う所の前で止まった、2人はその店に入って行った、保雄は

「何だ、この店は、この前、所長と春子さんが俺の歓迎会をしてくれた店だ、そうか彼

もこの店に来てたんだ」

保雄は車を有料駐車場に入れて、早速、その店に入った

「いらっしゃいませ!」

と女性がいい、保雄がカウンターに座ると直ぐに、お絞りを持って来て

「何にしますか?」

と聞いて来た、保雄は

「それでは、ビールをください」

と言った、女性がビールを注いでくれた、保雄は

「俺、この前ボックスに3人で座ったんだけれど、覚えてる?」

と聞いた

「えー確か、あそこの席でしたね、覚えていますよ1度、来たお客さんは忘れませんよ」

「へー、プロなんだね、処で、あそこにのボックスで飲んでいるお客さん、もしかしたら

石田不動産の方かな?」

と保雄は聞いてみた

「そうですよ、よく知ってますね、同業者ですか?」

「いや、以前に友人が、あそこの石田不動産で世話になった時、店の中に入った事が

あるんで・・・・」

カウンターの中の女性が

「そうー右に座ってる人、今、隣にいる内の雅子さんが、お目当てで来てるのよ、この処

週に3回は来てるかな」

「へ-そうなんだ、持てる人は違うね、俺なんかもう34歳になるのに、忙しくて彼女も

出来ないよ」

と言って、保雄は笑った保雄は

「それで、その雅子さんも、彼に気があるんだ」

「そうかもね、何も言ってないけど、でも彼女、彼には奥さんがいるって知ってるのよ」

「えー、それじゃぁ、不倫じゃぁ無いか?」

「あの人はあの人ですからね、私には関係ないわよ」

「そんな物かな、彼女は独身だろうかな?」

「そう言ってたけど、余りよく知らないわ」

保雄は暫らく考えて

「何時も彼達は帰りはタクシーで帰るのが多いの?」

「そう、タクシーが多いわね」

保雄は又、ビールを頼んで、中原有二を見ると、その雅子と何か話している処だった

薄暗い中、保雄は写真をデジカメで撮っていた、時間は過ぎて12時の店を閉める時間

になった、保雄は支払いをして

「すいません、タクシー呼んで貰えるかな?」

とタクシーを呼んで貰って、そのタクシーに乗って直ぐに運転手に話した

「すいません、私、探偵なんですが、これからタクシーで帰る人を尾行したいので、直ぐ

そこの角に止まって待っていてくれないですか?」

「あぁ、いいですよ」

そう言って、保雄はタクシーの中で、中原有二が出て来るのを待った暫らくしてタクシー

が止まった、その時タクシーに乗ったのは中原と一緒に来たもう一人の男性であった

「そうか、もしかしたら中原は、彼女と一緒に帰るのかも知れないな?」

と保雄は心でそう思った、その後、直ぐに店のドアーが開き、中原有二が出て来た彼は

1人で店から少し歩いた所の、電柱の影で誰かを待ってるように見えた、保雄はカメラ

のシャッターを切った

「運転手さん、もしかしたら、この近くにホテルはありますか?」

「あぁ、直ぐそこの角を曲がって50メートルの所にありますよ」

「そうか、そこに行くに違いないな?」

と保雄はそう思った、保雄は中原とお店のドアーを見ながら、何時彼女が出て来るか

見ていた、その時、彼女がドアーを開けて出て来て中原の待っていた所に行き腕を組ん

で歩き始めた、保雄はカメラのシャッターを切って

「運転手さんいくら!」

と言って素早く料金を払い、タクシーから降りて、彼達を付けた案の定、運転手が

言っていたホテルに2人は入って行った所を、保雄はデジタル、カメラのシャッターを

切った、少しホテルの前は明るかったせいか割合、横顔だが2人の表情は良く撮れて

いた、保雄は

「よし、2時間くらいで出て来るか、それまで張り込んでみるか」

と保雄は彼達が出て来るか来ないか2時間ほど持つ事にした、やはり2時間くらいして

タクシーが1台そこの前に止まったそして2人は足早にタクシーに乗り込んだ、保雄は

「しまった!今から、タクシーを呼んでも間に合わない!」

仕方なくそのタクシーを見送った、実は保雄は中原の相手の雅子と言う女性の自宅を

確かめて置きたかったのだった、保雄は仕方なく携帯で所長に電話して報告した後

タクシーで自宅に帰った。

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因縁(1)

竹田藤男は市内のサラリーマンの家庭に生まれた、父親は大酒飲みで母親にいつも

迷惑を掛ける仕事嫌いな男であった、藤男が2歳の時に父親は会社の帰りに酒を飲ん

で帰る途中、後ろから来たやはり、酒酔い運転の車に跳ねられ、直ぐに病院に運ばれ

たが、1時間後に死亡した、その後、犯人は直ぐに捕まった犯人の名前は北村信一と

言う当時24歳の運送会社の経営者の息子だった、保証金は僅かに出たが母親の

秀子は生活が苦しい中、一生懸命に働き藤男を大学にまで行かせてくれた、藤男は

早く母親を、楽にさせたいと思い高校の時からアルバイトをして家計を助けた、そして

歳月が流れ、藤男は今30歳になっていた、現在市役所で働き1年半前に二宮礼子と

言う女性と結婚して、今5ヶ月になる女の子がいた、母親の秀子は現在55歳の年齢

なのと、まだ身体の悪い処も無いので藤男が育った借家で、今も1人働きながら住ん

でいた、藤男はいずれは家を購入して母親と一緒に住む積もりでいた、藤男は今市内

の宝町に賃貸マンションを借りて妻と娘の3人で生活していた

その頃、今まで働いた会社から、本格的に探偵になった保雄は所長の川崎成一59歳

と事務件、雑用係りをしている木島春子24歳と3人で仕事をしていた木島春子は所長

の親戚関係で良く気が付く愛想のいい娘であった、そんなある日、川崎探偵事務所の

インターホンが鳴った、春子が

「どうぞ、お入りください」

と言うと、20代後半くらいと思える女性が入って来た、保雄が

「こんにちは、いらっしゃいませ、どうぞ」

とソファーに座るように進めた、彼女はソファーに座った、保雄は

「処で、ご用件は、どのような・・・・」

「はい、私は中原香織と言いますが、実は真土2120にあります「中原工業株式会社」

の社長の息子の中原有二の妻ですが、最近、夫が時々家に帰らない事がありまして

浮気をしているのでは無いかと思い、問い詰めましたが「俺は仕事で会社に泊まって

るんだ!」なんて言いまして、嘘に決まってます、それで夫の行動を調査して貰いたい

のですが・・・・」

「そうですか、分かりました、処で、ご主人の写真は、お持ち頂けましたか?」

「はい、これですが・・・」

保雄はその写真を見ながら

「分かりました、でご主人は、そこのお父さんがやっている会社で働いているんですね」

「いや、実は色々有りまして、現在は市内、見付町にあります、石田不動産と言う所で

働いています」

「そうですか、で、ご主人は、お休みの日には何か、ご趣味でもされているんですか?」

「いや、あの人は飲むのが趣味のような人ですから・・・・たまにパチンコにも行っている

ようですが・・・」

「そうですか、奥さんはご主人が、お酒を飲んでいる場所はご存知ですか?」

「いや、知りません・・・・」

「分かりました、それでは奥さんのご自宅の住所と電話番号を、お聞きして置きます」

「携帯でいいですか?」

「はい、携帯で結構です」

「自宅は八重咲町2-25です、電話は、090-****-****です」

「分かりました、それから、料金の方ですが、後で調査が終わりましたらお電話します

ので、その時にお願いします」

保雄は

「あぁ、すいません、先程の住所ですが、ここはマンションか何かでしょうか?」

「すいません、そうですマンションです、3階の5号です」

「そうですか、分かりました」

「それでは、宜しくお願いします、失礼します」

「はい、調査が終わりましたら電話しますので」

そう言うと、彼女は帰って行った、側で聞いていた所長の川崎は

「上出来だよ、これが豊田君の初仕事だから、頼んだよ」

と激励してくれた、その日の夜、川崎探偵事務所の川崎と木島春子が保雄の歓迎会

を明石町のスナック「サフラン」でやってくれた、保雄は

「どうも、ありがとうございます、頑張りますので、宜しくお願いしましす」

と挨拶して皆で乾杯して飲み始め、2時間ほどいて帰宅した

翌日、保雄は市内真土2120の「中原工業株式会社」を見て置く為、出掛けて行った

会社は以外にも近所には人家が無く、畑の中にある工場と言ったように保雄には

見えた

「ほー結構大きい工場だな、あぁ、金型を作ってるんだな」

保雄はそう思った、その後、その会社の近くの家で、中原工業の事を聞いてみる事に

して、会社から1番近くの家のインターホンを押してみた

「はい、宮下ですが・・・・」

「すいません、ちょっと伺いますが、そこに中原工業と言う会社は社員の方は何名ほど

いられるか、ご存知でしょうか?」

「そうですね、40人くらいと前に聞いた事がありますよ」

「そうですか、ご近所の評判とか、いかがでしょうか?」

「そうですね、特に、何か問題がある事は無いですよ」

「そうですか、どうもありがとうございました」

そう言って保雄は次に見付町にある中原有二が働く石田不動産に行く事にした近くに

着くと保雄は何処に車が置けるか?そして張り込みが出来る場所を探し早速、不動産

店の入り口が見える所に車を止めて車の中から、写真を見てその店に出入りする人を

確認していた、時間が過ぎて店の前に車が止まった、中から出て来たのは写真の男

まさに、中原有二であった彼はお店の中に入って行った、保雄は

「よーし、出て来るまで待ってみるか?張り込みは慣れているからな」

保雄は自分にそう言い聞かせて又、車の中で不動産店の入り口から目を離さなかった

夜、7時に中原有二は仕事が終わったのか出て来た、彼は石田不動産の脇の駐車場

に車を取りに行って、自家用車であろうかその車で駐車場を出た、保雄も彼の車の後

に続いて走りだした、車は八重咲町のマンション駐車場に入って行った、保雄は

「あぁ、ここが自宅マンションなんだ」

そう思い暫く待ったが

「今日は、出掛ける様子が無いかも知れないな」

そう思って保雄は時計を見ると、7時半過ぎた所だった保雄は所長の携帯に電話し

今までの経過を話した、所長の川崎は

「それでは、今日はもう出掛ける事が無いだろう、明日にして、帰宅していいよ」

「分かりました、それでは今日は帰ります、又、明日にします」

そう言って保雄は自宅に帰った。

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裏切り(22)

署に戻る前に、主任の久本は、中村刑事と清田刑事に

「君達は、これから前田綾子のマンションに行って、事情聴取して来てくれ」

「はい、分かりました、これから行って来ます」

久本は携帯電話を掛けて立花社長を張っていた、石川と吉田の2人の刑事に言った

「おい、お前達、今、何処だ!」

「はい、現在、まだ「立花株式会社」の側に居ますが」

「バカモン!直ぐ署に戻って来い!立花社長が死んだんだ!」

「は、はい、分かりました」

そう言うと久本は携帯を切て

「あのバカどもが!」

と怒り心頭で言った、署に戻り全員が揃った処で、会議が行なわれ、久本主任は

「それでは、今夜、八重咲町の「パーク、イン」と言うマンションで転落死した立花良二

の件だが、彼が自殺をしたとは私にはどうしても思えんのだが、君達はどう思うかな?」

高橋刑事が

「はい、自殺するような動機が、現在まで見当たらないと思いますので、事故、又は

他殺と言う線が濃いのでは無いかと思いますが」

「そうだな、私もそう思う、立花を怨んでいた人物だが、今、中村刑事達に前田綾子の

自宅に言って事情聴取して貰っている、それに今夜、立花が訪問して酒を飲んでいた

彼の昔の恋人だったと言う清水靖子だが、何か隠してるんでは無いかな?立花秀子

の通夜を、ある女性に聞いたと言ってるが「彼女に迷惑が掛かるから」と言ってその

女性の名前を言うのを否認してるが、そんな事がそんなにその女性に迷惑を掛ける

事とは思えんがな、どう思う」

「そうですね、清水靖子を張り込みますか?」

久本は

「そうだな、1度、彼女の身辺を洗ってみるか?」

「分かりました」

と言った処え、中村刑事と清田刑事が帰って来た

「主任、前田綾子は今夜は8時頃帰って、ずっと自宅にいたと言っています、証人は

当然、誰もいません、それに彼女、何か青白い顔をしていたのが気になりました」

「そうか、それは可笑しいな、彼女の隣の部屋の人に当たったのか?」

「はい、両隣の部屋の方には声を掛けて、聞いてみましたが、何も気が付かなかった

と言う事です」

「そうか、それでは明日から前田綾子と清水靖子を徹底的に尾行してみてくれるか?」

「私と高橋くんで、明日の立花社長の通夜と次の葬儀には行ってみる、それでは明日

から、頼む」

そう言って、主任の久本は会議を終えた

翌日、朝、保雄の所に村田から電話が入った

「もしもし、俺だよ、知ってるか昨夜、立花社長が転落死した事」

「えー、本当か? まさか自殺と言う事じゃぁ無いよな?」

「んーそうな、自殺をするような、人間には見えないな、処で清水靖子と言う女性の

部屋で立花はワインを飲んでいたらしいんだ、その女性と言うのが、昔の彼の恋人

だったと言う清水靖子だそうだ、立花秀子の通夜にその靖子と言う女性が来ていて

立花社長と再会したと言う事らしいんだが、1つ靖子はその通夜の事を誰か知り合い

に聞いたらしいんだが、その通夜の事を、誰から聞いたのか彼女が言わないと言う事

だよ」

保雄は

「何か、言えない理由があるんだな?分かった俺がその事を調査してみるよ、靖子の

住所は分かるか?」

「あぁ、いいか、八重咲町3-17、マンション「パーク、イン」7階の5号室だよ」

「分かった、調べてみるよ、実は突然なんだが、お前にだけ話して置くが俺の父親から

先日、話があって父親が偶然に市内で大学時代の友人に会ったらしいんだ、そうしたら

その友人は、もう10年前から探偵事務所をやっていたらしいんだが、1人事情があって

止めてしまって「今、女性と2人でやってるが手が足りないので誰か探偵をやる気のある

人間がいたら紹介してくれ」と頼まれたらしいんだ、それで親父が「お前探偵好きだった

んで、やる気があるなら紹介する」と言って来たんで、もう1週間も考えたんだが

やっぱりやりたいと考えてな、会社に今月末で辞める退職願いを出したんだよ」

「んー、そうか、いいじゃないか、好きな事をやって給料が貰えるんだろう、賛成だよ」

「そうか、ありがとう、住所は市内、錦町3-16、広中ビル2階の2号室だからそれで

名前は「川崎探偵事務所」と言うんで、来月からいるので、又、その内、来てくれよ

どうせまた、お前の世話にならないと解決が付かない事件があるかも知れないからな」

「あぁ、分かった、その内にな、それじぁまた」

と言って村田は電話を切った、保雄は彼が賛成してくれて一安心していた

土曜日、保雄は村田から聞いた、清水靖子のマンションに出掛けた、しかしマンション

の入り口の近くの覆面パトカーの中に、保雄の感で、刑事が2人居たのを見て張り込ん

でるのか?と保雄は思い、そのまま保雄は車を走らせて、暫く刑事達が動くのを

見張っていた、時間は「あっ!」と言う間に過ぎて、夕方6時半頃、着飾って出て来た

女性の跡を、刑事の車がゆっくりと付けて行っているのを、保雄は見て同じように付けて

行った、彼女は歩いて12、3分くらい掛けて明石町のスナック「美香」に入って行った

刑事達は出て来るのでも待ってるのか、動く気配が無いので、保雄は有料駐車場に車

を止めて、帰りには、タクシーで帰って明日、車を取りに来る積りで、以前来たスナック

「美香」に入って行った

「いらっしゃいませ」

と言ってカウンターの中に居た女性が

「珍しいですね、何にします?」

「あぁ、すいません、ビールを・・・・・」

カウンターの中の女性は直ぐに、保雄にビールを注いでくれた、保雄は

「今、こちらに入った女性はママさんでしたっけ?」

「いや、違いますよ、彼女はママの友達とかで最近、手伝いに来てる方で靖子さんです」

「あぁ、そうですか、ママと見間違えてしまった」

と言って保雄は笑った保雄はビールの後、焼酎割りを飲んで、9時頃にタクシーを

呼んで貰い店を出てそっと、覆面パトカーがいるか見た

「やはり張り込んでるな、大変だなご苦労様」

と思いながら、タクシーで帰宅した、翌日、保雄はバスに乗って駅に行きそこから徒歩

で明石町の駐車場から車を出して、昨日の清水靖子のマンションに行ってみた、又

昨日と同じように覆面が止まっていた

「今日は、このまま帰ろう」

保雄はそう思い村田の携帯に電話した

「俺だよ、昨日は1日中、清水靖子に尾行が付いていたよ彼女は最近になって明石町

のスナック「美香」で働いてると、昨夜「美香」の女性に聞いて来た、何でもママさんと

友人だったらしいな、その事から考えると恐らく、靖子はそのママさんに立花秀子の

通夜の事を聞いたんじゃぁないか?」

「そうか、それなら、分かるな、立花社長も、たまに行く店だったようだからな」

保雄は

「清水靖子のマンションで転落死して、犯人は靖子では無いと言う事は、もしかしたら

前田綾子は立花社長と靖子の関係を知って、社長の後を尾行してあのマンションに

行き、彼と屋上で話してる時に口論になって社長を突き落したとは考えられないか?」

「んーそうだな、11時半頃に刑事が前田綾子の自宅を事情聴取した時、彼女は何か

青白い顔をしていたと、刑事が言っていたそうだ」

「そうか、やはり任意同行して聞いたら自供すかも知れないがな?んー証拠が無いか?

しかし状況証拠は揃ってるし、動機もあるから、出来るんじゃぁ無いかな?」

「あぁ、刑事課長がどう判断するかだが・・・・・」

村田はそう言った

「そうだな、他に立花社長をやる人間がいるかだよ?それじゃぁ、又電話するよ」

と保雄は電話を切った

その翌日、前田綾子が平塚警察に任意同行された、久本主任が彼女の取調べをした

「前田さん、貴女、行ったんでしょう22日夜、立花社長を付けてあのマンションに?

出たんですよ、屋上の手摺りから、貴女と社長の指紋が・・・・・・・言い逃れ出来ない

ですね、話してしまいましょうよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・すいませんでした、直ぐに自首しようと思ったんですが、何か

怖くなって・・・・私があの屋上で彼と口論になって、突き飛ばしたら、転落してしまって

私は、急いで分からないように、自宅に戻って来ました、すいませんでした」

と彼女は涙を流して、後悔してるように見えた

「それでは、逮捕しますからね」

と、久本は時計を見て

「立花良二殺害で10時10分ちょうど貴女を逮捕します」

と言って久本主任は、取調べ室から出て、課長室に入って行った

保雄は、次の日に村田からその事を聞いた

「さて、もう直ぐに、俺も本当の探偵だ、しかしサラリーマンには違いが無いな」

そう思い自分自身で笑ってしまった、これからどんな事件が待ってるんだろと考えると

気力が出て来たのを保雄は感じていた。

                          (完)

                            (この小説は全て架空の物語です)

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裏切り(21)

マンションの住人から連絡を受けた平塚警察は直ちに現状に向かった、現場には

パトカーが来ていて、出入り禁止のテープを張り、現状の確保をしていた、刑事達が

付くと救急車が来ていて救急隊員が人口呼吸とAEDでの電気ショックを行い直ぐに

病院に向かって行った、久本主任は高橋刑事に病院に事情を聞きに行かせて、彼は

鑑識に聞いた

「どうなんだ、何か痕跡が出てるか?いったい、これは自殺なのか、他殺なのかな?」

「はい、上に、何かの痕跡があるかも知れません、今、検証中です、後は誰か目撃者

でもいたら、分かるんですが?」

「今、刑事達がマンションの住人にその事を聞き込んでいるから、いずれ分かると思う」

中村刑事は清田刑事と屋上に上がり、鑑識に聞いた

「何か、争った後でも出ているのか?」

「いや、ここの手摺りですが、擦過痕らしい跡がありますが指紋でも出ればいいんで

すが・・・・・・」

「そうか、それじゃぁ、俺達は7階から聞き込んでみるか?」

と清田刑事に言って、階段を下りた直ぐそばの10号室から聞き込んで行った

インターホンを押すと

「はい、どなたでしょうか?」

「こんばんは、すいません、平塚警察ですが、お話を聞かせてください」

「はい、何でしょうか?」

「少し前ですが、ここのマンションの屋上から男性が転落しまして、現在病院に行って

いますが、現在の処、自殺か事件かは分かりませんが、9時半から10時頃に何か

物音を聞いていませんか?」

「はい、今、開けますから」

と言って、50代くらいの女性が出て来た

「すいませんがその時間、物音とか誰か、見た事が無い人間を見たとかと言う事は

無かったでしょうか?」

「いや、本当ですか?驚きました、テレビを付けていたので気が付きませんでしたが

ここの人が落ちたんですか?」

「それはまだ分かりません、そうですか分かりました、どうもありがとうございました」

と彼達は次の8号室のインターホンを押した、8号室7号室が終わった、その後、病院

に行って事情を聞いていた高橋刑事から電話が入った

「主任、先程、転落した男性ですがたった今、死亡が確認されました、死亡したのは

立花良二46歳で、例の「立花株式会社」の社長です、死因は転落した時の全身打撲

で死亡時間は8月22日午後10時05分です」

「そうか、驚いたな、奴は何故ここのマンションに来たんだ?」

「それは、分かりませんが」

「分かった、ご苦労さん、帰って来てくれ」

と、主任の久本は言った

その頃、中村刑事と清田刑事は6号室のインターホンを押した、その時中村刑事の

携帯電話が鳴った

「はい、中村です、はい、はい、はい、分かりました」

と言って久本からの電話で転落者が立花良二社長でたった今、10時05分、死亡した

事が連絡された

「はい、室田ですが?」

と言って、玄関が開き40代くらいの女性が出て来た

「すいません、平塚警察ですが、先程このマンションの屋上から、男性が転落しまして

亡くなったんですが、何か大きな物音を聞きませんでしたか?また、見慣れない人間を

目撃した事はありませんでしたか?」

「あぁ、そう言えば、内の主人が帰宅した時、お隣の清水さんの所から誰か分からない

男性が出て来たのを見たと言っていましたが・・・・・」

「そうですか、それで、ご主人が見た時間は何時頃でしたでしょうか?」

「ちょっと、お待ちください」

と言って直ぐに、そこの主人と思える男性が出て来て

「あぁ、どうもこんばんは、そうですね、確か、9時45分頃だったと思いますが」

「そうですか、それで階段の方に行ったんですね」

「いや、私は一瞬、見ただけで、男性で40代くらいの方だとしか覚えてませんが・・・・」

「そうですか、分かりました、どうもありがとうございました」

中村刑事は、携帯電話で久本主任に

「主任、7階に来て貰えませんか?」

「ん、何かあったのか?」

「はい、重要証言があるかも知れませんので」

「そうか、今、これから行く」

と、言って久本はエレベーターで7階に上がって来た

「主任、今、こちらの6号室の室田さんの所で聞いたんですが、お隣の5号室の部屋の

清水と言う方の家から、亡くなった立花が9時45分頃に出て来たと、ここのご主人が

目撃したと言う事ですので、これからこちらの清水さんの自宅に聞き込んでみようと

思いまして、主任に来て貰ったのですが」

「よし、分かった、聞き込んでみようか?」

と主任はインターホンを押した

「はい、清水ですが・・・・」

「清水さんですか?平塚警察ですが、ちょっとお話を伺いたいので、開けて頂けません

でしょうか?」

「はい、今、開けます」

「こんばんは、平塚警察です、すいませんが貴女の所に先程まで居た立花良二さんが

ここの屋上から、先程転落して亡くなったんですが、貴女は気が付きませんでしたか?」

「えー!ほ、本当ですか!全く、気が付きませんでした、酔って寝てたものですから?」

「失礼ですが貴女は清水、何と言われるんですか?お名前を聞かせてください」

「はい、清水靖子ですが、何故、彼が落ちたんですか?」

「それは、まだ分かりませんが、貴女は立花さんとは、どんな関係なんでしょうか?」

「彼とは昔からの知り合いです」

「何処で、知り合われたんですか?」

「彼とは15、6年前に、彼が横浜の商事会社に勤めていた時、私も務めが横浜でした

ので、電車の中で何時も出会っていたので、自然に口を聞くようになりまして、それから

の付き合いです」

「失礼ですが、恋人同士であったと言う事でいいでしょうか?」

「はい、そうです、彼は私と別れた後、今の会社の娘さんと結婚しました」

「そうですか、すいません、立ち入った事ですいませんが、どうしてお別れになったんで

すか?」

「私が、彼に振られたんですよ、それだけです」

「貴女は黙って、彼と別れたんですか?」

「はい、そうです」

「それでは伺いますが、今夜、立花良二氏は何の為に、こちらに来たんでしょうか?」

「それは、奥さんが亡くなられた時、偶然に知り合いから聞いて、お通夜に行った時

彼とバッタリ会いまして、住所を知りたいと言いましたので教えたら、今日、昼に電話が

ありまして今夜来たと言う事ですが・・・・・」

「そうですか、その知り合いとは、どなたでしょうか、教えて貰えませんか?」

「いや、それは彼女に迷惑が掛かりますので、すいませんが言えません」

「しかし、その方から我々は聞かない事には、貴女の話を信用する訳に行きませんが」

「それでも、仕方ないです、彼女には迷惑掛けたく無いので・・・・」

「もしかしたら貴女を警察に来て頂いて、聞くようになるかも知れないですが、それで

いいでか?」

「仕方ないですね、でも私は何もしていませんので、それだけは言って置きます」

「そうですか、彼は今夜お酒を飲んでいたと鑑識が言っていましたが、貴女と飲んだん

ですか?」

「そうです、久しぶりでしたので、ワインを飲みました」

「そうですか?分かりました、それでは、又何か伺いたい事が出来たら、お話を聞かせ

てください、失礼しました」

と、言って主任の久本達は彼女の部屋から出て行った。

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裏切り(20)

その夜、村田から保雄の所に電話があった

「お前、昨日、前田綾子の弟が市内で交通事故を起こして、警察に留置されたのを

知っていたか?」

「いや、知らなかったな、それで弟の名前は何と言うんだ?」

「あぁ、前田博29歳だ、それで実は、大変な事が分かったんだよ、実は奴の車の

トランクから防毒マスクが出て来たんだ」

「えーそれは本当か?」

と保雄は驚いた

「ん、それでその防毒マスクから、奴の指紋と「焼肉立花」の店長の中村明の指紋が

出たんだんで、警察は中村明を直ぐに任意同行して調べたら、中村と前田明は同じ

年で何処で知り合ったのか友人関係だったんだよ」

「そうか、そうしたら、彼達が湘南平で村上精一を殺したんだな、しかし彼等と村上は

面識が無いし、やはり、これは前田綾子か立花社長が、何処かに呼び出して彼等に

やらせたとしか考えられないな、当然、彼等は金を貰っているんだろう」

村田は

「あぁ、そう考えるのが当たってると思うよ、昨日、防毒マスクは科捜研に出してるんで

今日当たり、結果報告があると思うんだ、もしもマスクから硫化水素の成分が出たら

奴等を逮捕する事が出来るんだが・・・・・」

「ん、しかし、手を汚していない、黒幕は立花良二社長だ、奴等は今、黙秘をしている

立花社長に頼まれたと自供するかだが?・・・・・」

「あぁ、何とか自供するように攻め立てるしかないな、処で話は別だがこの前頼まれた

木島信子の実家の住所はもういいんだよな」

「あぁ、そうだな、手間を掛けさせて悪かったよ」

「いや、いいんだよ、それじゃぁ又連絡するよ」

そう言って村田は電話を切った

翌日、平塚警察の主任刑事の久本は立花良二を張り込んでいる石川刑事と吉田刑事

に携帯で連絡を取った

「石川君、その後、社長の動きはどうだ」

「はい、面白い事が分かったんです、実はどうも社長には熱海に前田綾子の他に女が

いるようなんですよ」

「それは本当なのか?」

「はい、捜査した処、彼女は割烹料理屋の娘さんで1度結婚して、その後、夫とは離婚

しています、名前は皆川文子、現在39歳で女のお子さんが1人りいます、現在はその

割烹料理屋でお上をやっています」

「そうか、それで立花社長とは頻繁に会ってるのか?」

「そうですね、月に3、4回は会ってると思いますが、えー「海賓ビーチホテル」に入る

立花社長を数回見ています」

「そうか、他に何か気が付いた点は無いか?」

「はい、今の処はそれくらいですが」

久本は

「と、言う事は今は余り、前田綾子とは会って無いと言う事だな?」

「はい、そうだと思います」

「分かった、それではこれからも、暫く尾行していてくれ」

「はい、分かりました」

と言って、久本主任は刑事課長に報告に行った、その後、前田博と中村明の取り調べ

は続いていた、そんな時、科捜研から防毒マスクの件で報告書が届いたその結果

やはり、その防毒マスクから硫化水素の成分が微量だが検出されたと言う報告だった

刑事主任の久本は、前田博と中村明にその事を伝えた、久本主任は

「よし、これで2人を逮捕出来るな」

そう皆に話し、久本は

「しかし彼等が黙秘をしてるので、彼等に殺しを依頼したのは誰なのか分かっていても

証拠が掴め無い限り、立花社長を逮捕する事は出来ない」

と苛立っていた 

その頃、前田綾子は立花良二に電話していた

「貴方、私の弟の博が警察に交通事故で捕まって何か知らないんだけど車のトランク

から防毒マスクが出て来て、湘南平で何か事件があった時に使ったのでは無いかと

警察が調べると言って、まだ弟は返して貰えないみたいなのよ」

「お前、警察に呼ばれたのか?」

「えぇ、博を引き取りに行ったんだけど、結局その防毒マスクがあったので、博が何か

やったとは思いたく無いんだけど、それと焼肉店の中村明君も調べられているみたい

なのよ」

「そうか、分かった、今、忙しいので切るからな」

「ちょっと待ってよ、貴方、最近来ないわね、どうかしたの、まさか女でも出来たんじゃぁ

無いでしょうね、そんな事したら、許さないわよ!」

「そんな訳ないだろう、忙しいだけだよ、その内行くよ」

「分かった、待ってるわよ」

そう言って綾子は電話を切ったが、女の感と言うのが働いたのか今度、立花の後を

1度付けて見ようと思っていた、その夜、立花社長の自宅に清水靖子から電話があった

「貴方、私、靖子だけど、悪いんだけど明日300万ほど都合付けてくれない」

「お前、この前の5千万、渡したばかりだろう?いったいどうしたんだ」

「あぁ、あれマンション買ったのよ、もうなくなったわ、300万でいいのよ、貴方にしたら

はした金でしょう」

「バ、バカを言うなよ、俺だってそんなに簡単に右から左に金を動かす訳には行か無い

んだよ」

「あぁ、そうなんだ、じゃぁ、300万、これで最後にしてあげるわ」

「本当ーーに、最後にしてくれるんだな・・・・約束出来るな!」

「えぇ、信用しなさいよ」

「分かったよ、それで何処で会うんだ」

「そうね、私が買ったマンション見たいでしょう、住所、言うから明後日の夜、8時に

私の部屋に持って来てくれる」

「分かった、それで、何処なんだ住所は?」

「八重咲町の3-17マンション「パーク、イン」と言う所だから、直ぐ分かる所よ7階の

5号室だからね」

「分かった、それじゃぁ、明後日の8時に」

と言って、立花良二は電話を切った

その日は直ぐに来た、8月22日だった、立花良二は靖子に言われたその住所に行く

所その日は珍しく運転手の原島が休みだったので、会社からタクシーを呼んで夜行く

積もりで7時半になるまで書類の整理をしていた7時半にタクシーを呼んで運転手に

靖子から聞いた住所を言って暫らくしてそのマンションに着いたしかし警察の石川刑事

と吉田刑事は、何時もの車とは違う、タクシーだったので、2人はつい見逃してしまった

マンションはかなり真新しいマンションで正面入り口に「パーク、イン」と書いてあった

彼はエレベーターで最上階の7階で降りて5号室を探した、インターホンを鳴らし彼女

が出て来るのを待ったドアーが開き中から靖子が出て来た、と、その時エレベーターの

角で前田綾子が隠れて見ていたのを立花は気が付かなかった、部屋の中に入り彼は

忙しいから金を渡して直ぐに帰る積りだったが、ワインが出て来て靖子が飲んでいって

と言うので、仕方なく一杯飲んだ、しかし又1杯、又1杯と注がれてついつい5、6杯ほど

飲んだろうか、彼は少し酔っていた、1時間半もそこにいて飲んだ良二は、時計を見て

「あぁ、もうー9時半過ぎてるのか、俺、帰るからな」

と言って彼女の部屋のドアーを開けて出た立花は、一瞬、隣の6号室の部屋の主人の

室田政夫が会社から帰宅する所で、立花は彼に見られていたのにも、気付く事が出来

無かった、エレベーターの前に行くと、何と、そこで仁王立ちで待っていた綾子に出会わ

せてしまった

「あ!・・・・ど、どうして、お前がここにいるんだ?」

「どうしてでも、いいでしょう!とにかく屋上で話しましょう、上に来て!」

と彼女はかなり、怒りが篭もった声で言った

「あぁ、分かったよ」

と、立花良二は彼女に付いて屋上に出た

「貴方!彼女は誰なの!・・・・やっぱり女が出来てたのね!私を裏切ったら許さないと

前から言ってたでしょう!このマンションも貴方が買ってあげたんでしょう、こうなったら

私と結婚して貰うから明日、結婚届を書いて貰うわよ、いいわね!」

「誤解だよ、彼女は昔の友達の奥さんだよ」

「嘘、言わないで!、何で、そんなに酔ってるのよ!2人で、お酒飲んでたんでしょう!」

「うるさいな!それなら言うよ!もうお前とは正直、別れたいんだよ!な!もう別れよう

お前にはもう飽き飽きしてたんだ!」

立花は言わ無くてもいい事を、つい酔っていた勢いで口に出して言ってしまった

「騙したのね!!この裏切り者!!」

と彼女が彼を突き飛ばした、弾みで彼は酔っていたせいなのか腰当たりまである高さの

屋上の手摺りを彼の身体が乗り越えて、地上に落下してしまった

「あぁぁぁぁーー!!」

・・・・・・・・・ドスーーン・・・・・・・・・

と鈍い地し引きがした、慌てた綾子は急いでエレベーターで下に降り、人に見られない

よう、隠れるように自宅に逃げ帰った。

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裏切り(19)

その頃、立花精三は病室で運転手の古川信夫と話していた、古川は立花良二の

運転手の前は、現在、立花株式会社の会長でもある立花精三の運転手だった

「古川君、先日、取って来てくれた書類、悪いがこれを茅ヶ崎の幸子の所に届けて

くれないか? 向こうにはもう連絡がしてあるので、頼んだよ」

「はい、分かりました」

そう言って古川はその書類を茅ヶ崎のマンションにいる村上幸子に届ける為で掛けた

立花精三は一人息子と、可愛がっていた娘の秀子を何者かに殺された、それが誰で

あるかは、おおよそ見当が付いていたので、古川に頼んで幸子と連絡を取っていた

立花株式会社の社長の立花良二は最近、特に会合と言っては熱海に繰り出していた

運転手の原島に熱海まで遅らせて

「今日はもう帰っていいから、明日、こちらから連絡するから迎えに来てくれ」

そう言って「海賓ビーチホテル」に入って行った、会社の木島則夫総務部長は親戚の

営業課長の木島正雄に

「最近、社長は良く、会合だと言っては熱海の「海賓ビーチホテル」行くらしいが可笑しい

な、調べたら会議など無いと言う事だった、お前今度、調査してくれないか?」

と木島部長は課長に話した

「そうですね、1度、後を付けるように部下に言って置きます」

「そうだな、頼んだぞ」

そう言って、部長はその場を離れた

その翌日、平塚警察では交通事故と飲酒運転をした、前田博の姉の前田綾子の市内

の八千代町のマンションに電話した

「もしもし、こちらは平塚警察ですが、実は昨日の夜、お宅の弟さんと思われる方が

田村の交差点で交通事故を起こされたので、調べた処、飲酒運転と分かりましたので

彼の身柄は身内の方の引取りが無いと、お返し出来ない規則ですから、直ぐに警察

に来て貰いたいのですが?」

「そうですか、分かりました、これから伺います」

そう言って、暫らくして、前田綾子が着飾って警察に来た

「すいません、私は前田綾子と言いますが、こちらに来るように電話を頂きまして来た

んですが?」

と受付でそう言った

「交通事故ですか?」

と警察官は聞いた

「はい、そうです」

「ちょっと、お待ちください」

と言って交通課に連絡を取っていた、直ぐに交通課から刑事課に連絡がいったのか

2階から刑事が降りて来て、彼女を刑事課に案内して話を聞いた

「すいません、前田綾子さんですか?」

「はい、そうです」

「実は貴女の弟さんを交通事故と飲酒運転で、こちらで拘置しています、ただ本人が

貴女の事をお姉さんでは無いと言っていたので、可笑しいと思いまして?又、彼の車の

トランクから防毒マスクが2個発見されたんですが、その防毒マスクがある事件がらみ

でして、またそのマスクから、博さんの指紋と、もう2人の指紋が出たんです、そのもう

1人の指紋が立花株式会社がやっている「焼肉立花」の5号店、店長の中村明の指紋

ですので、彼を現在、任意同行中で、これから取り調べますが、貴女は警察の調べ

では立花株式会社の社長の良二氏とは懇意にされていると言う事ですが、この事に

付いて何か、ご存知無いですか?」

「確かに社長さんとは以前から懇意にしていますが、私は会社の事は良く分かりません

ので、全く知りませんが・・・・・」

「そうですか、貴女は、その店長の中村明と言う人の事は、ご存知無いですか?」

「はい「焼肉立花」には行った事がありますが、彼の事は知りません」

「それでは一応、弟さんは、酒気帯び運転ですが、その防毒マスクの件で、まだ聞く事

が、ありますので、実はもうご存知と思いますが先日の8月5日の夜11時から12時頃

村上精一と言う方が硫化水素を使って亡くなっています、警察では硫化水素自殺では

無く、これは誰かが彼に恨みか何かを持っている人間の仕業の殺人事件では無いか

と考えていまして、その事件で防毒マスクが使用されていますので、弟さんには、話を

聞かないと、いけませんので貴女が、お姉さんと分かりましたので今度は、話が終わり

ましたら彼を、お返ししますから、どうぞご心配無く、今日はこれでお帰り頂いて結構で

すので」

「本当に、弟がその事件に関係してるんですか?」

「いや、それをこれから捜査するんですですから、現在はまだ分かりませんので、どうぞ

ご心配無く」

「そうですか、宜しくお願いします」

と言って前田綾子は帰って行った、その後暫らくして「焼肉立花」の中村明が任意同行

されて来た、刑事主任の久本は

「中村君、君に聞きたい事があるんで、来て貰ったんだ、少し話を聞かせてくれ」

と言って、取調室に入った、主任の久本は山を掛けて聞いた

「君と前田博君とは友達だそうだね?」

「あぁ、よく知っていますね」

「ん、今、前田博君の、お姉さんから聞いたんだよ」

「そうですか、それで今日は何ですか?」

久本は

「やはり姉の前田綾子は中村明の事を知っていて、知らないと嘘を言ったんだ」

と、心の中でそう思った

「それでは聞くが、君は8月5日の夜の11時から12時には何処に居たか説明してくれ

ないか?」

「えー、そんな、あぁ、私は仕事でしたよ、内の仕事は夕方5時から午前1時までの仕事

ですからね」

「君が仕事をしていたのは、本当か、嘘を付いているかは、直ぐに分かるよ」

「えぇ、聞いてみてくださいよ、確か仕事のはずですが・・・・・・」

主任の久本は直ぐに刑事を「焼肉立花」の5号店に行かせ、彼に耳打ちし

「また、店にいたと言う事にしておけと、言ったのかも知れないから、数人に聞いてくれ

嘘を言った人間は逮捕すると、脅してもかまわないからな」

「はい、分かりました」

「頼んだよ」

と久本はそう言って、送り出した、数時間後、「焼肉立花」の5号店に行っていた刑事が

帰って来て

「主任、彼達を主任が言われたように、脅したら言いましたよ、10時半頃に店長に

「2時間くらい出掛けるが、誰かに聞かれたら店に居たと言って置いてくれ」と頼まれた

と聞きました」

「そうか、やはりな、これで科捜研に出してある防毒マスクから、硫化水素の成分でも

出れば奴等を逮捕出来るんだが・・・・・」

久本主任は

「おい、中村君、お前の言ったアリバイだが「当日は店に居た」と言う事だが、嘘が

バレタぞ!いい加減にしろよ!店の従業員がお前が10時半頃に「2時間くらい出掛け

るから誰かに聞かれたら、そのように言って置いてくれと頼まれた」と話してくれたぞ!

どうなんだ、正直に話せ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「お前は8月5日の夜友人の前田博と何処かで会って、何処かで誰かに呼び出されて

いた、村上精一の車の中で彼に睡眠薬入りの缶コーヒーを飲ませて、寝込んだ彼を

湘南平に運んだ、そこの駐車場で彼の車の中で防毒マスクを使って硫化水素を発生

させて、お前達は逃げたんだ!、いったい、お前達に村上精一を殺すように命令したの

は誰なんだ!それに、お前達は幾ら金を貰って、殺しを引き受けたんだ話してみろ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「黙秘か、話さなければ、お前達は段々と罪が重くなるんだぞ!分かってるな!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「分かった、少し休憩する」

そう言って久本は取調べ室から出て課長室に入って行った。

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裏切り(18)

木島信子の証言の裏取り捜査に「相模中央タクシー」に行った石川刑事が帰って来て

「主任、木島信子の話は本当でした、帰りにも立花の自宅から30メートルくらい離れた

所で、又、携帯で相模中央タクシーを呼んで帰宅していました、その書類は、この目で

見て来ましたので本当です」

久本主任は

「そうか分かった」

と言って、中村刑事と清田刑事が出掛けた後、帰って来た刑事達に聞いた

「村上精一、硫化水素事件だが、現場近くの家の聞き込みは、どうなった?」

「はい、何しろ現場と家がかなり離れている為と時間的な問題とで、10軒ほどの自宅に

伺いまして、聞き込んだんですが、目撃者は出ませんでした」

「そうか、それでは、立花良二の当日の行動は聞き込んだのか?」

「はい、彼は自分の自宅にいたと言う事ですが、証人はいません」

「それで、立花株式会社の従業員で、社長の立花が1番信頼を置いている人間は誰か

分かったのか?」

「えぇ、社員、4、5人に聞いたんですが、特別、信頼していた人間がいたのは知らない

と言う事です」

「そうか、ん・・・・」

そんな話をしていた時に、中村刑事と清田刑事が「焼肉立花」の店長の木村利恵を

任意同行して来て、取調べが始まった

「木村さん、貴女が警察に匿名の電話をしたんですね木島信子がそう言っていましたよ

処で立花秀子殺害事件のアリバイで何故、嘘を言ったんですか?」

「すいません、日にちを間違えていました」

「そんな事は理由になりませんよ、貴女は立花秀子専務が殺された時間の10時少し

過ぎに、秀子専務の自宅に急用があって行ったと言いましたね、木島信子がそのよう

に証言してますよ、どんな急用で専務の自宅に行ったんですか?」

「それは、その前日、専務から「売り上げ帳を持って来るように」と言われて忘れてい

まして、あの時間に行きました」

「そうですか、貴女が専務の自宅に着いたのは何時頃か、思い出せますか?」

「おおよそ、10時10分前後ではないかと思いますが」

「そうですか、貴女は専務の自宅から車で出る時、木島信子を見たと言って、昨日、

彼女の自宅に電話して、その事で彼女を犯人扱いして、お金を脅し取ろうとしましたね

彼女が、そのように証言してますが?」

「いや、お金を、貸して貰いたいと話しただけです」

「そうでしょうか、木島信子は「犯人扱いされてお金を揺すられた」と話していましたが

貴女が、そう言ったんじゃぁ無いですか?」

「いや、私は、そんな事は言っていません、貸しくださいと言ったんです」

「まぁ、いいでしょう、処で貴女は事件当日、立花さんのお隣の川村さんのお嫁さんに

10時少し過ぎにトイレの窓から貴女の白い車を見られているんですよ、もう、そろそろ

本当の事を言ったらどうですか?」

「・・・・・・・私はやっていません・・・・・木島信子さんがやったんじゃぁ無いんですか?」

「まだ、そんな事を言ってるんですか、木島さんは来る時も、帰る時も同じタクシー会社

の運転手の証言でアリバイが照明されたんですよ」

「貴女も、お子さんやご主人がいるんでしょう、家族にこれ以上、迷惑を掛けるのは良く

無いんではないですか?罪を償って1日も早く家族の所に、戻った方がいいんでは?

良く考えなさい」

「・・・・・・・・すいません、弾みだったんです、私が秀子専務を殺しました、ごめんなさい」

「それで、どうして、秀子専務を、殺そうと思ったんですか?」

「ですから弾みです、急に専務に言われた事が、私は許せなくて、側にあった灰皿で・・」

「分かりました、処で貴女は何回か灰皿で専務の頭を殴っていますね、何回殴ったん

ですか?」

「私は、気が動転していて全く、覚えていません・・・・・・・・」

「それでは、貴女は専務を殴った後、どうしたんですか?」

「はい、我に返って急いで灰皿やグラス、ボトル、ドアーノブなどをハンカチで拭き取って

専務の自宅の玄関を出た時、丁度タクシーが止まりました、私は玄関脇の植え込みに

身を隠して降りて来た人を見た時、木島さんと分かりました、彼女は玄関から中に

入って行ったので、その1瞬を見て私は自分の車に戻りエンジンを掛けて駐車場から

出て立花家の門の所で又、出て来た彼女と出会いましたが、私はそのまま車で帰りま

した」

「そうか、わかりました・・・・・・・・どうですか、気持ちが楽になったんではないですか?」

木村利恵は、涙を流して頷いていた

その夜、保雄の所に村田から電話があった

「俺だよ、実は今日、「焼肉立花」の店長の木村利恵が立花秀子殺しを自供したよ」

「そうか、やはり彼女だったのか?彼女は秀子専務を、営業成績の事で文句を言われ

たのを怨んでいたんだな」

「あぁ、多分そうだろうが、殺したのは、何か言われた事が引き金になったらしいよ」

「そうか、でもまだ村上精一の事件が解決していないからな、これからだろうが・・・・」

「そうだよ、これからが又、大変だよ、お前にも又、協力して貰わないとな」

「あぁ、何時でも行ってくれよ、休日なら何時でもOKだからな」

「あぁ、頼むよそれじゃぁ」

と言って村田は電話を切った

8月も半ばの15日の夜11時半頃、国道129号線の田村の交差点付近で自家用車

同士の物損事故だ起きた、目撃者の110番で直ぐに、交通課の警官が現場検証を

始めた来た警察は2人の運転手から事情を聞いていたが、1人の運転手の息が酒の

臭いを感じた警官がパトカーの後部席に乗せて、飲酒検査のキットで検査した結果

酒気帯び運転と判明して、警察署に車と運転手双方が連行された、また彼の運転して

いた乗用車のトランクから防毒マスクが2セット発見された飲酒運転していた男の名前

は前田博29歳で職業は現在無職と言う事だった、警官は

「ん、これは確か?・・・・・・・・」

と刑事課に連絡を入れた、直ぐに刑事主任と高橋刑事が来て、その防毒マスクを鑑識

に届けた後、主任刑事の久本が前田博を取り調べた

「前田さん、貴方はどうして、防毒マスクを車のトランクに入れて置いたんですか、普通

何か、毒物でも扱う仕事をしてないと、使用しない物ですがね」

「仕事で使ったんですよ」

「何の仕事で使ったんですか?」

「あぁ、アルバイトで・・・・・・そう、シロアリ駆除の時に薬を使うんで、それで・・・です」

「そのアルバイト先を教えてください、場所は何処ですか?」

「あぁ、ちょっと、大分、昔の事なので、忘れたんですが」

「可笑しいですね、普通、防毒マスクはアルバイト先で貸してくれ物ではないですか?

それに、まだ、新しいマスクのように見えましたが・・・・嘘を言うと虚偽罪で逮捕と言う

事にもなりますよ」

「すいません、拾ったんです」

「ほー何処で拾ったんですか?」

「「あぁ、山の方ですが・・・・」

「何処の山ですか?」

「あぁ、確か湘南平の方だったと思いますが・・・・」

「そうですか、処で貴方のお姉さんは前田綾子さんといいませんか?」

「いや、私は一人っ子ですから・・・・・・」

久本主任は

「そうですか・・・・明日、身内の方が来ませんと帰れませんよ、それでいいんですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

前田博は黙ってしまった

「話したくないなら言いですが、貴方の住所を前田綾子さんに確かめないといけない

のでね、明日、連絡だけはしてみます」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

刑事主任の久本は、刑事に言って警察内の拘置所に前田博を拘置するように話した。

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裏切り(17)

翌日の昼過ぎ、木島信子の所に電話があった、信子は台所の片付けの途中で

「もしもし、木島ですが?」

「あぁ、私、お宅のご主人と同じ会社の焼肉店の方を撒かされている、木村利恵ですが

以前に1度、会社の展示会で、お会いしてると思いますが・・・・・」

「あぁ、覚えていますよ、それで今日は何か?」

「えぇ、実は私、見ちゃったのよ、貴女が7月21日の夜、専務の自宅から飛び出して

来るのを、私、急用があって専務の自宅に夜、10時過ぎ頃に着いた時だったわ、貴女

専務の自宅から出て来た時、車と擦れ違ったでしょう、覚えてるわよね、その車私が

運転していたのよ「何だろう?」と思って専務の自宅の玄関に行ったらドアーが開いて

いて私、専務が頭から血を流して倒れているのを見て、驚いちゃって、貴女、この事が

会社に分かったら、ご主人は首になるし、貴女も刑務所行きだわよね、それでいいの

奥さん私、今、お金がいるのよ、少し用立ててくれたら、誰にも、この事は言わないで

置くわ、考えてくれない」

「何言ってるの!私はやってないわ!確かに秀子専務の所にあの日、夫の事で行った

事は事実だけど、やったのは私じゃぁ無いわ!私が行った時は、もう彼女は頭から血を

流して倒れていたのよ、貴女がやったんじゃぁないの!」

「いい加減な事言わないで!警察に行ってもいいの?」

「あぁ、いいわよ!私は本当にやって無いんで警察に調べて貰えば貴女の方が都合が

悪いんじゃぁない!」

「あぁーそうー分かったわ、後で後悔しないでね!」

と言って木村利恵は「ガシャァ」と電話を切った

その頃、保雄は村田の所に電話していた

「もしもし、俺だけど、その後、立花秀子の事件と先日の村上精一の、事件はどうなって

るかと思ってな?」

「あぁ、立花秀子の事件は今の処3人の容疑者が上がってるんだが、状況証拠だけで

確実な証拠が上がって無いんだよ」

「その3人とは、例の「焼肉立花」の2号店の木村利恵と、殺害された専務との不倫の

関係だった営業課長の木島正雄の妻の木島信子と、それに社長の立花良二から

借金を断られて、夫が行方不明の吉田優子だな」

「あぁ、そうだ俺は状況証拠で任意同行して、もっと詳しい事を聞くべきだと思うんだが

上の人間が決める事なんでな」

「7月21日の事件だが確か、凶器は大理石の灰皿だったな、指紋は綺麗に拭き取って

あった、それにワインボトルとグラスが、2個テーブルに置いてあった、それと隣の人が

事件当日、10時過ぎに白い乗用車を見ている・・・・・・・・そこまでか?」

「あぁ、タイヤ痕はアスファルトの道で無理と言う事、害者の血痕は分ったが、ホシのは

採取出来なかった、他に目撃者もいない」

「秀子の不倫相手の木島正雄の事は、何処まで捜査してんだ?」

「いや、それは分からない、多分何も出ていないから、発表しないんだろうと思うがな」

保雄は

「木島の自宅は俺が行って、彼の奥さんの信子とは会って来たが、アリバイは不透明

だな?悪いんだが、木島信子の実家は何処か調べてくれないか?彼女には何となく

会った時に、俺は、何か違和感を感じたんで調査してみたいんだ」

「そうか、分かった、調べて明日電話するよ」

「それから、村上精一に事件だが、これは本当に自殺では無いんだな?」

と、保雄は念を押すように言った

「あぁ、本人の母親が「あの子は自殺なんかする子では無い」と言ってるんだ、それに

誰に聞いても、自殺するような動機が見当たら無い、確かに検死の結果では硫化水素

中毒死なんだが、彼が自殺するような人間では無いと会社の人間も口を揃えて言ってる

のでな・・・・・」

「そうか、睡眠薬を飲んでいたと言う事だが、睡眠薬を飲んでから、硫化水素を混合

する?少し可笑しいような気がするが、また硫化水素を混合したら直ぐにガスが発生

してしまうんでは無いのかな? まぁ、自殺の動機が無いと言うなら、事件だろうな」

村田は

「ん、彼がもし殺されたとしたら、これは1人の犯行では無いな、詰まり、村上精一は

誰かに睡眠薬を飲まされて、ホシ達は、車2台を運転して湘南平の駐車場に行き

そこで、防毒マスクをして硫化水素を彼の車の中で発生させ、もう1台の車で逃げた

と思うんだよ」

「あぁ、そうだな、それに違いないなそれじゃぁ、木島信子の実家の住所、頼むよ」

「あぁ、分かったそれじゃぁな」

そう言って、村田は電話を切った

その後、平塚警察に匿名で電話が入って「立花株式会社の専務を殺したのは、同じ

会社にいる木島正雄の妻の信子です、私はその時間に彼女がその自宅から出て来る

所を目撃した者です」

と女性の声で電話があった、平塚警察の刑事は

「貴女のお名前と住所を教えてください」

と言ったが、直ぐに電話は切れてしまった

翌日、平塚警察では市内の馬入にある、木島正雄の自宅から妻の信子を任意同行

し取り調べた

「木島さん、実は7月21日夜、貴女を、立花秀子さんが殺害された自宅の前で見たと

言う、目撃者が現れましてね、それで伺いますが、貴女は当日、自宅にいたと言って

いましたが、どうして嘘を言ったんですか?」

「すいません、実は内の夫と秀子専務が不倫をしていると知って、当日、秀子専務の

自宅に夜9時頃に電話したら「自宅に居る」といいましたので「話があります」と言って

行きました」

「事件の当日、ご主人の不倫を知ったのですか?」

「いえ、以前から可笑しいなとは思っていましたが、事件の前日、ある人から電話が

ありまして、次の日に彼女に電話したら、自宅にいたので、「これから伺います」といい

秀子専務の自宅にタクシーで行きました」

「そのある人とは?」

「いえ、それは言えません」

「そうですか?貴女は、何故、タクシーを使ったのですか、自宅には車がありますよね」

「はい、娘が乗っていましたので」

「そうですか、そのタクシー会社は分かりますか?」

「はい、私は何時も「相模中央タクシー」を使っていますので・・・・・」

直ぐに、そばにいる刑事が立ち上がって、裏取りに出て行った、その後、信子が

「すいません、私が専務の自宅に着きインターホンを押したんですが、誰も出て来ない

ので、家には電気が付いているのに、可笑しいと思って、ドアーを開けたら軽く開いて

しまったので、そっと中に入ると、そこに秀子専務が頭から血を流して倒れていたんで

私は驚いて玄関から飛び出て門を出た所で、車のライトに見られましたが、そのまま

自宅に帰りました」

「車に会ったんですか? その車はどんな色か見ましたか?」

「一瞬、でしたから、でも白い車のようでした、実は昨日「焼肉立花」の2号店の店長の

木村利恵さんから電話があって、私、秀子専務が殺された事件当日、車の中で貴女を

見たといい、彼女が私からお金をユスル積もりで電話して来ました、私がやってない

ので断ると、警察に電話すると言いましたが、私は本当にやってないので「電話する

ならどうぞ!」と言いました、その結果が匿名電話ではないかと思いますが」

「そうですか、一応、貴女の当日の行動は分かりましたが、それを証明しないと貴女を

帰す訳には行きませんので承知して置いてください」

と言って、刑事は一旦席を外し、刑事主任にその事を伝えると刑事主任は中村刑事に

「悪いが、これから清田君と直ぐに「焼肉立花」の2号店の、木村利恵を任意同行して

来てくれ」

と伝えた。

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