因縁(20)
久本主任は応接室のドアーを軽くノックしてノブを回して部屋に入った、高橋刑事の
後に続いて中原有二とその後に竹田藤男が入った、母親の秀子は2人の顔を見て
スッと立ち上がった、竹田藤男が
「お、お袋、何で来たんだ!」
そう言ったが、直ぐに久本が
「今日は、お前達2人に、お母さんが話したい事があるそうだ、そこに掛けなさい」
竹田と中原はソファーに座った、 母親の秀子は有二の顔を見て、涙を流しながら
「有二さん、ごめんなさいね・・・・・・・・・・・今迄・・・・・黙っていたけど、貴方と藤男は
私が30年前に産んだ、双子の兄弟なのよ・・・・・・・・・ごめんね、黙っていて・・・・・・」
と、大粒の涙を流して話した、驚いた藤男が
「お、お袋、そ、それは本当なのか!」
「驚かして、ごめんね・・・・・・・・お母さんを許して・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」
中原有二も、挿すがに驚いたのか
「俺は中原の養子だったのは、前から知ってたけど・・・・・・・しかし、驚いたな・・・・」
と、少し目頭を潤ませて涙がこぼれるのを隠すように上を見あげて言った、藤男は
「お袋!ちゃんと、初めから話してくれないか?」
「えぇ、30年前、貴方達のお父さんは、お酒ばかり飲んで、ろくに仕事をしてくれない人
でね、毎月、生活するのが精一杯で、私はお父さんに「貴方仕事してよ、私は妊娠して
るのよ」と言うと「うるさい!」と直ぐに私を殴って・・・・・・・・どうしょうも無い人でした
私は夫と別れようと何回も思いましたが、お腹が段々と大きくなって、臨月を迎えてしま
いました、生まれて来たのは貴方達2卵生の双生児だったんです、私はとても2人は
育てられないと考えて「長男の有二を施設の前に捨てればここで育ててくれるだろう」と
今思えば浅はかな考えで手紙に生年月日と名前と「すいませんがどなたか育ててくれる
方を探してください、まだ、届け出はしてません宜しくお願いします」と書いて有二を捨て
てしまいました、その後、毎日々有二の事が頭から離れませんでした、そんな時、風の
噂で市内の中原工業と言う会社の社長さん、ご夫妻に有二が貰われたと聞いて、私は
ある探偵事務所で、その場所を探して貰い暫らくは有二の姿を遠くから見ていましたが
中原夫妻が有二を大切に育てて、下さってる事が分って、私は、もう有二の事は忘れる
事にしようと心に決めました、しかし、それでもたまに思い出して見に行っていましたが
ここ数年前から「もう会いに行くのは止めよう」」と思って行かなくなっていました、それが
こんな形で又、再会するなんて・・・・有二・・・・お母さんを許して!・・・・ごめんなさい!」
と、秀子は涙を一杯流しながら有二に謝った、その話を聞いていた、藤男は
「本当の兄貴だったんだ・・・・兄さん!お袋を許してやってくれないか!頼むよ・・・・・・」
と、泣きながら有二に言った、有二は
「あぁ、お袋を、今さら恨む積もりは無いよ、それより・・・・お袋!こんな不始末な事を
して、悪かったな、ごめんよ!」
そこで主任の久本は
「お母さん、又、彼達には会う事が出来ますので、一旦、彼達を連れて行きます、どうも
ありがとうございました」
と、言って久本が高橋刑事と中村刑事に命じて中原有二と竹田藤男は取調室に戻さ
れた」
取調室で竹田藤男は中原有二の弟の修と長友誠一を刺し殺した事を認めた、また
中原有二は竹田の父親を28年前に、ひき逃げで殺した北村信一を刺殺した事と又
竹田と一緒に長友誠一の車の中で後部座席から、長友の首を絞めた事を認めた
2人は罪を犯した事を後悔していた、2人の話ではやはり竹田藤男の妻の礼子が妹の
スナック「サフラン」で働いていた二宮雅子を通して竹田藤男と中原有二は知り合って
いた、その後、話が合いお互いの事を話し合ってる内に、殺害計画を話すようになり
竹田が中原修を刺して逃げる所を、長友に見られたので、その時は100万で話が
付いたと思っていたら、さらに長友が100万要求してきたので、中原と2人で彼の
車の中で殺害したと言う事だった、また、中原有二は自分が養子であった事は高校を
出てから仕事を始めて後で分ったが、彼は高校卒業時に父親の中原修一に
「お前は大学には行かなくていい働け!」
と言われて、その時は、何も知らなかったので
「お父さん、どうして大学に行かせてくれ無いんだ!」
と反発したが、父親はその理由は言わなかったが、後で分った事だが
「そうか、俺より、実子の修の方が可愛いのが当たり前だ!」
と、そう思い高校を出てから直ぐに、家を飛び出して東京に出て色々な仕事をして働き
ながら「宅地建物取引主任者」の試験に合格し今の石田不動産店に就職したのだった
しかし、有二はどうしても父親が許せずにいた、12年ぶりに市内四之宮の自宅に当事
4歳だった弟を尋ねたが、その時の弟の言葉が
「貴方はどなたですか?」
と言う言葉だった
「そうか俺の話を親はして無いんだ、そう言えば俺が家出した時まだ何も知らない子供
だったんだな」
と、有二はそう思って言った
「お前、お母さんから、俺の話を聞いて無いのか俺、有二なんだけど?」
「有二知れませんね、誰の事です、貴方は誰ですか帰ってください、警察を呼びますよ」
と、携帯電話を掛けようとした
「おい、待ってよ、お前は俺の事、親から本当に聞いて無いのか?」
「聞いてません、誰かー来てー、助けてー!」
と大声を上げた、有二は驚いて、急いで中原の家の玄関から飛び出した、有二は
「そうか、お袋まで、俺が邪魔だったんだ!」
そう思って、近くの居酒屋に入り、その日は「もうどうでもいい」とヤケクソになって酒を
浴びるほど飲んだ
主任の久本は
「そうか、お前も苦労したんだな、しかし、罪を犯した事とその事は関係ない!今から
逮捕するからな」
そう言って有二の手に高橋が手錠を掛け署内の留置所に連れて行かれた、同じように
竹田藤男も逮捕された
その夜、保雄の所に村田から電話が入った
「もしもし、やはりお前が言った通り、北村信一殺しと、中原修殺しは交換殺人だったよ
それと長友誠一は彼の車の中で2人で殺害したと自供したよ」
「そうか、中原有二にしても血が繋がらないからと言って、何も殺さなくてもいいのに・・・
それと竹田藤男にしても28年も前の事なのに、恨むと言う事は不幸な事だな、しかし
驚いたのは2人が、双子の兄弟だったと言う事だよ、これも何かの因縁なのかな?」
「ん、そうだな、母親の秀子を恨む訳にも行かないだろう、不幸な出来事だったよ・・・・」
と、言って村田は電話を切った、保雄は
「明日あたり有二の妻の中原香織がいったい、どんな顔で事務所に来るのかな?」
と、そう思っていた。
(完) この小説は全てフィクションです。
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