偽装(7)
保雄はスナック「しのぶ」で暫く飲んで、その日はタクシーで自宅に帰った
翌日、保雄はタクシーを呼んで自宅から昨夜、車を置いた駐車場に行きその車で
事務所に出勤した、所長の川崎成一と木島春子は、もう先に来ていた、保雄は
「どうも、おはようございます、遅くなりました」
と保雄が言うと川崎所長が
「豊田君、君の方は調査は進んでるのか?」
「はい、大丈夫です、それより先日は、初めて事件の第一発見者になってしまって
驚きました、悲惨な現場を見てしまったので2日ほどご飯が美味しく無かったです」
「そうか、商売柄、仕方が無い事だな、頑張ってくれよ」
と言って所長は事務所を出て行った。
保雄は机に座り
「いったい大島は何故、誰に殺害されたのか? あの「三ヶ月堂」には何かまずい
事が起きてる? それは何だろうか?」
そんな事を考えていた時、事務所の電話が鳴った、春子が電話を取った
「もしもし、川崎探偵事務所ですが・・・・・」
「すいません、探偵事務所ですか?」
「はい、そうですが?」
「あぁ、実は、すいません・・・・・・ちょっと話が・・・・」
「はい、ちょっとお待ちください、今、変わります」
保雄は別の電話で聞いていたので
「もしもし、どのような、ご用件でしょうか?」
「はい、実は・・・・・・・・私の娘が「三ヶ月堂」と言う和菓子会社の娘さんと友達で
実は娘から聞いた事ですが「三ヶ月堂」の娘さんが話したと言う事を話しますと
「ねー美香今、家の商売やばいんだよ」「えぇ、どうしたの?」「ん、家の誰かが
製造年月日を変えたり賞味期限を変えたりして商売してるってタレ込んだ社員が
いるらしいんで今、会社の中ガタガタしてるんだよ」「それって偽装表示じゃぁない
やばいよ!警察にバレたら捕まっちゃうよ!」と言うような話で、あの「三ヶ月堂」
は、今、賞味期限の改ざんや和菓子に使う古くなったアンコまで繰り返し使用して
るらしいと言う事です、まだ世間にはそのニュースは流れていませんが内部告発
でもう、そろそろ警察の生活安全課の一斉捜査の手が入るのは近いと言う事です」
「・・・・・そうですか、でもまた何故、そのような話を私どもに・・・・・」
「はい、私は警察が大嫌いでして、探偵さんに話せば調査してくれるかな?なんて
思いまして、いや、何も、しないでいいんです・・・・・・それでは失礼します」
と言うと、その人物は電話を切った、保雄は
「もしもし、もしもし、お名前は?・・・・・・切れちゃったよ、おかしな人だな?でも
いい事を垂れ込んでくれたな」
保雄は苦笑いした
「やはりそうか、それで大島は、誰かに殺されたんだ、内部告発したのは大島で
間違い無いだろう、裏切り者の大島を、もしかして会社の誰かが?・・・・・・・」
「ここで推理していても、始まらないな・・・・・」
と思い保雄は出掛ける事にした、村田にはもう情報が入ってるのかなと思い
電話を入れた
「もしもし」
と村田が出た、保雄は
「仕事中だろう、大丈夫か」
「あぁ、大丈夫だが、どうしたんだ」
「実はたった今、入った情報だが例の「三ヶ月堂」の社員がどうもマスコミに内部
告発をしたらしいんだよ、あの会社、どうやら偽装表示をやっていたらしいんだ
詰まり賞味期限の改ざんだな、近く一斉捜査の入るんじゃぁないのか?」
「それは、本当か?」
「あぁ、多分、生活安全課には、もう情報が入ってるはずだ恐らく俺の考えだが
告発したのは大島清次では、ないかと思うんだがな?」
「えーと言う事は、もしかして、大島を殺害したのはその会社の人間か?」
「ん、あくまでも俺の推理だがな・・・・・」
「そうか、でもこの情報は暫く、黙って置くよ」
「そうだな、その方がいいよ、それじゃぁ又、連絡するよ」
と言って保雄は電話を切った。
その翌日、和菓子製造販売会社「三ヶ月堂」に警察の生活安全課が一斉捜索に
入った、事務所の全ての書類や工場の営業停止して書類ほか商品全てを押収して
車に積み込んだ、経営者の社長、専務、課長など経営陣は証拠が出た時点で
事情聴取されると言う事であった。
その夜、保雄は先日、調査依頼に来た川田靖子に電話した
「もしもし、川崎探偵事務所の豊田ですが、今日これから行こうと思いますが都合
はいかがですか?」
「はい、分かりました、それでは8時に、私、先に店に行っていますから・・・・」
「そうですか、では、その時間に伺うようにします」
と言って保雄は夜8時ちょうどに明石町のスナック「礼子」のドアーを押して中に
入った、店の中はカウンターに5、6人座れる感じでボックス席が4卓あった
そのボックスの1番奥の席に川田靖子が座って、多分ママさんと思える女性と話し
ていた、保雄は
「どうも、お待たせしました」
と靖子に言って、靖子の隣に座った
「あぁ、そうー、この人がここのママさんの礼子さんです」
「どうも、初めまして豊田保雄です」
「石川礼子です、ゆっくりして行ってください、何を飲まれますか?」
「それでは、ビールを・・・・・」
「はい、ちょっと、待ってください」
とママはカウンターの方に行った、保雄は
「処で、まだ今日はその男達は来て無いようだね」
「えー、来て無いですが、さっきママが「今日あたり来ると思うよ」と言っていたので
それに2人の苗字が分かりました、ママに聞いたんですが木原と林田と言う2人
だそうです」
「そう、とにかく今日来たら、帰る時に彼等の後を尾行してみよう」
「はい、分かりました」
その時、入り口のドアーが開いて、2人の男性が入って来た、靖子は保雄に
「来ました、あの2人です」
「どちらが木原ですか?」
「はい、確かスポーツ刈りの男の方だと思います」
「そうですか、そうすると銀のメガネの方が林田ですね」
保雄は頷いて2人を見た、2人とも背の高さは170センチくらいで中肉の中年男
で特に特徴と言えば1人は銀縁のメガネを掛けていた、もう1人はスポーツ刈りの
頭をして白髪交じりであった、2人はカウンターに座り飲み始めた、保雄はとにかく
彼達の先ずは住まいと勤め先を聞き出す事を、ここのママさんに頼むように靖子
に頼んだ、時間は過ぎて店が終わる時間になった、保雄はママさんに頼んで
彼達がタクシーを呼んだら、その時こちらの分も1台呼んで貰うように頼んだ
カウンターの2人がタクシーを呼んだ、ママは保雄に言われたように2台頼んだ
タクシーが付き2人はタクシーに乗り込んだその後直ぐにもう1台のタクシーが来た
保雄と靖子はタクシーに乗り込んで
「運転手さん、前のタクシーを少し離れて付けて行ってください」
と頼んだタクシーはJR東海道線のガードを潜り夕陽丘34と電柱に書いてある所で
スポーツ刈りの男が降りたタクシーはそのまま高浜台29マンションの前で止まった
そこで銀縁メガネの男が降りた保雄は2ヶ所の場所の住所を手帳に書き取っていた
保雄は靖子に
「明日にでも、2人の自宅の近所に聞き込んでみて、彼等の勤め先を調べますよ」
「そうですか、宜しくお願いします、では帰りましょう、何処でしたか自宅は?」
と言うと靖子は
「運転手さん、桜ヶ丘まで、お願いします」
と言った、保雄は
「そうか、彼女は桜ヶ丘だったのか?」
とそう思った、タクシーは桜ヶ丘の川田靖子の自宅の近くに着いた、靖子は
「今日はどうもありがとうございました、また、事務所に電話します」
と言って靖子はタクシーを降りた
「はい、分かりました、私の方もまた、ご連絡しますので・・・・・」
と言って、保雄はそのままタクシーで帰宅した。
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